失敗例から学ぶ!ウォークインクローゼット照明の選び方と設置方法のバリエーション
ウォークインクローゼットでは天井にダウンライトを設置するという方法が一般的ですが、実際に使用してみると「明るさが足りない」「棚に影ができてアイテムが選びにくい」などの悩みが生じがちです。
そこで今回は、ウォークインクローゼットの照明でよくあるお悩みを元に、照明選びのポイントについてご紹介していきます。また照明を設置する方法や流れなども解説しています。
ウォークインクローゼットの照明計画でお悩みの方や、リフォームを検討されている方、照明器具選びをされている設計者様・デザイナー様は、ぜひ参考にご覧ください。
目次
1.ウォークインクローゼットの照明を選ぶポイント
2.ウォークインクローゼットに照明を設置する方法
3.シミュレーション施設もご活用ください
4.多様な空間でお客様のニーズを満たすDNライティング
ウォークインクローゼットの照明を選ぶポイント
ウォークインクローゼットの照明選びで押さえておきたいポイントに、「アイテムの色・質感・デザインが判断できること」「使い勝手が良いこと」「安全性が確保されていること」があげられます。またこれらの機能面に加えて、居心地の良い空間であることも大切です。
では具体的にどのような点に気をつけて照明計画をすれば良いか、事例も交えながら見ていきましょう。
全体照明とスポット照明を併用する
ウォークインクローゼットでは、シーリングライトやダウンライト、ライン照明などを使って、空間全体の明るさを天井から確保するのが基本です。影ができないようにクローゼットスペースの中央に設置するのが一般的ですが、光が足りない場合は棚の上にも設置します。
しかし、天井からの光だけでは、棚下の衣装や服飾品などが見えにくかったり、色や素材の判断がつきにくかったりすることがあります。また空間や収納棚の形状によっては、影ができてしまうことも。実際、「棚の上や端まで光が届かない」「棚で影ができてしまい服に照明が当たらない」と照明選びに失敗した声をよく聞きます。
こういった場合は、棚下にスポット照明を設置することをおすすめしています。棚下に照明を設置すると、天井に設置した照明だけでカバーしきれていない部分を明るく照らすこともできますし、棚にあるアイテムがはっきりと見えるようになり、色や素材の判断もしやすくなります。
十分な明るさを確保する
「明るさが不足していて衣類の色がわかりづらい」という意見も、ウォークインクローゼットの照明選びでよくある失敗です。
一般的にウォークインクローゼットの照度は300〜500lxが適切な範囲で、これより暗いと色や質感が判断しづらくなり、反対に明る過ぎると色が飛んで見えたりすることがあります。
ちなみに、日本産業規格(JIS)の照明基準総則(JIS-Z9110-2010)ではウォークインクローゼットの照度についての記述はないものの、類似した空間では下記の数値が推奨されています。
【ファッション店(衣料/装身具/眼鏡/時計など)】 | |
---|---|
店内全般 | 500lx |
着装コーナ(フィッティングルーム) | 750lx |
【美容・理髪店】 | |
着付 | 500lx |
【住宅】 | |
ひげそり/化粧/洗面 | 300lx |
玄関の鏡 | 500lx |
また最近ではウォークインクローゼット内で裁縫やアイロンをかけたり、メイクをしたり、書き物をしたりと、衣類を収納すること以外のさまざまな機能を兼ねるケースがあります。
例えば、裁縫に適した照度は1000lx、勉強や読書に適切な照度は750lxですので、複数の機能を兼ねるウォークインクローゼットでは、調光機能付きの照明を選ぶのがおすすめです。
服の色味が判断できる色温度と演色性を確保する
「黒だと思って選んだのに紺だった」「左右で違う靴下を選んでしまっていた」と、出先で色やデザイン、素材などの違いに気付かれたという方も少なくないでしょう。このような失敗を避けるには、照度だけでなく、光源が持つ色温度と演色性にも着目する必要があります。
色温度とは光の色合いを数値で表したもので、単位はケルビン(K)を使用します。色温度の数値が低いと赤みがかった光、逆に高いと青みがかった光になり、ウォークインクローゼットでは太陽光に近い5,000K前後が適しています。
色温度の低い照明はリラックス感があり、おしゃれな空間に仕上がるので人気がありますが、衣類の色が黄みがかって見えてしまうため、あまりおすすめしません。
逆に色温度が高すぎても、実際の色より青白く見えますので、やはり5000K前後の昼白色の光源がベストだと言えます。
関連記事:照明の色温度とは?空間への効果とシーン別おすすめ色温度
次に演色性についてです。演色性とは照明が物の色をどれだけ自然に見せるかを示す指標で、平均演色評価数(Ra)で表されます。太陽光の下での見え方をRa100とし、Ra100に近い光源ほど物の色が忠実に再現でき、逆に数値が低くなるほど物の色がくすんで見えたり、色が正確に再現されなくなります。演色性が低いと、特に紺色や黒色、濃い紫色の見分けが難しくなります。
そのため、ウォークインクローゼットで衣装や服飾品の色を確認する場合は、最低でもRa80以上、可能であればRa90以上の高演色タイプを採用するのがおすすめです。
アイテムが出し入れできるスペースを確保する
シーリングライトのような大きな照明器具や、天井にぶら下げるタイプのペンダントライトは、物を入れたり取り出したりする際に邪魔になりがちですので、ウォークインクローゼットには不向きです。
そのため、ウォークインクローゼットでは天井に光源を納めるダウンライトを採用するのが一般的ですが、この他にも、折り上げ天井にして光を天井に反射させたり、部屋の壁両端に照明を設置して2列のコーブ照明で天井を照射するといった方法、また棚下に照明を設置して床面に光を反射させたりする方法もあります。
これらの方法であれば、照明器具が天井や壁面上部に埋め込まれるため、出し入れ時に物を照明にぶつける心配がなく安全に使用できますし、光源や照明器具が隠れるので視覚的にもスッキリとした印象になります。
シミュレーション
シミュレーション
人感センサーを採用する
ウォークインクローゼットでよくある悩みに、照明の消し忘れや、手がふさがっていて照明がつけられないといったことがあります。そこでおすすめなのが、人感センサー付きの照明器具です。
人感センサー付きの照明器具を選べば自動で点灯・消灯しますので、スイッチ操作なしで照明が点灯しますし、また消し忘れも防ぐことができます。また、安全性や利便性が向上する上、電気代も抑えられ、電球も長持ちします。
関連記事:照明の消費電力の目安は?消費電力量を減らすためのポイント
メンテナンスしやすい照明器具を選ぶ
ウォークインクローゼットは繊維によってホコリが発生しやすい空間です。照明器具にホコリが付着したまま放置していると照度が落ちますし、故障や火災のリスクが高まったり、虫の住処になったりと、機能性・安全性・衛生度が低下する原因にも。
そのため、照明器具を選ぶ際はメンテナンスのしやすさにも着目しましょう。
具体的には、電球の取り換え頻度が少なくすむLED電球を選んだり、光源をBOX内に納めるプロファイルシステムを採用するといった方法があります。
照明におけるプロファイルシステムとは、あらかじめ造作内に照明BOXを設置してLED灯具を埋め込み、乳白色のアクリルで覆う設置方法を指します。光源そのものにホコリが付着しにくい点、カバーをサッと拭くだけでホコリが取り除ける点などがメリットとなります。
また、設計者様・デザイナー様におかれましては、照明BOXの構造や器具の放熱を考慮した造作寸法、そして中に入れる照明器具の選択に悩まれることなく、間接照明を取り入れていただけます。間接照明を取り入れていただけます。
ウォークインクローゼットに照明を設置する方法
ウォークインクローゼットに照明を設置する方法としては、主にDIYで後付けする方法や、新築・リフォーム時に造作内に設置する方法、ウォークインクローゼットで使用する棚などに照明を設置する方法があります。
それぞれの照明器具・照明手法のバリエーションや、設置の流れについてご紹介していきます。
DIYで照明を設置する
本来、照明器具の取り付けには電気工事士の資格が必要ですが、コンセント式のLEDテープライトやブラケットライトなど、DIYで設置できる照明器具であれば、電気工事士の資格がなくても取り付けが可能です。充電式や電池式のものであれば、コンセントがない箇所にも設置できます。
このような自身で設置可能な照明器具は、費用が抑えられる点、簡単に取り付けられるという点がメリットとしてある一方で、造作内に収まらないので物を出し入れする際にぶつけてしまったり、配線が足にひっかかってしまったりといったデメリットがあります。また、充電式や電池式の場合はこまめな電池交換・充電が必要になりますし、DIY向け製品とはいえ安全性が確保できないことも考慮しておく必要もあるでしょう。
天井・壁の造作内に照明を設置する
ダウンライトや間接照明のように、天井・壁などの造作内に照明を納めたい場合は、設計段階で設計士やデザイナーに相談する必要があります。設計図が仕上がってからとなると再度設計を見直さないといけませんので、できるだけ早い段階で相談するようにしましょう。
照明を造作内に納めると、照明器具や配線が隠れてスッキリとしますし、高級感や統一感のあるおしゃれな空間が演出可能です。また光源が隠れる間接照明は目への刺激が少なく、照度が高くてもリラックスした雰囲気を作ることができます。
関連記事:【事例】ダウンライトを使った棚・棚下の照明デザイン事例|選び方のポイントなど
収納棚に照明を一体化させる
棚に直接照明を設置したい場合、前述したLEDテープライトなどを使い自身で取り付けることもできますが、これから棚を作られるのであれば、照明をあらかじめ埋め込んでしまうという方法もあります。
依頼の流れとしては、新築やリフォーム時は工事を担当する工務店へ、造作家具の制作を依頼する時は依頼する家具メーカー・家具デザイナーに相談するのが一般的です。対応できない場合もあるので、制作が開始される前に相談するようにしましょう。
DIYより費用はかかりますが、照明が棚にピッタリと納まりますし、照明器具や配線を隠すことができます。また電気工事士の資格を保有するプロが施工するので安全です。
なお、上記は弊社DNライティングの建築化照明『SFL』を棚下に埋め込んだCGシミュレーションとなります。
電源内蔵のコンパクト型 Seamlessline LED照明器具 『SFL』を発売開始>
【製品詳細】
ドーム型カバー(SFL D)>
スクエア型カバー(SFL S)>
棚だけでなく、上記のようにパイプへ照明を仕込むというアイデアもあります。こちらはLEDモジュール『XC-LED2』を採用しています。
【製品詳細】
LEDモジュール XC-LED2 >
シミュレーション施設もご活用ください
DNライティングでは『色温度・配光・明るさ』と『設置位置・角度』をシミュレーションしていただける体感型施設を東京と大阪に設けています。
ウォークインクローゼットの照明計画でお悩みの方や、実際の見え方などを体感されたい方、造作家具に照明を組み込みたい方、製品について直接説明を受けられたいという方はご利用ください。
多様な空間でお客様のニーズを満たすDNライティング
現在、百貨店・総合スーパー・ブランドショップ・専門店などの商業施設をはじめ、オフィスビル、ホテル、病院、学校、美術館、マンション、寺社仏閣にいたるまで幅広くこだわりの光(ヒカリ)を表現できる照明メーカーとしてご用命を頂いております。
- 様々な空間に対応する多彩な品揃え
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照明の役割がますます多様化し、その機能への期待が高まっている中、小空間から大空間まで様々なステージで対応できる豊富な商品を揃え、お客様のニーズにきめ細かく対応する照明専門メーカーを目指しております。ぜひお気軽にご相談ください。
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