照明の色温度とは?空間への効果とシーン別おすすめ色温度
照明の色温度とは、インテリアの雰囲気づくりや空間に大きな影響を与えますが、どのような性質や特徴があるのでしょうか。
今回は色温度の基礎知識とともに、空間への効果やシーン別に最適な色温度についてご紹介します。
目次
照明の色温度とは
照明の色温度とは、「黒体放射の色度(色相と彩度)を持つ光源がある場合の温度を絶対温度(K)によって表したもの」とプランクの法則で定義されています。
温度が高くなるほど多くの光を放射し、1000Kになると放射する光は可視光線(380nm~780nm)になって赤く光り、温度を更に上げていくと青白色光に近づいていきます。
つまり、色温度の低→高という変化に対して、光色は赤→橙→黄→白→青と変化します。その時の光の波長は、長波長から短波長に変化し、比視感度も小さくなることから、人間の光の感じ方は暖→冷と変わっていくというメカニズムです。
毎日の生活でも、朝日は3500K(温白色)、朝もやの光は4000K(昼白色)、昼間は6000K(昼光色)、青空は8000K、夕日は2000K(電球色)と変化しています。色温度によって行動を喚起したり、落ち着かせたりする効果があると考えられています。
一般的に、色温度が低い光源は、低照度では落ち着いた雰囲気を感じることができますが、高照度になると暑苦しく感じる傾向にあります。
また反対に、色温度が高い光源は、高照度では涼しく爽快な雰囲気を感じることができますが、低照度になると陰気に感じられる傾向にあります。
以下で、具体的な照明の色温度をご紹介します。
白熱電球
白熱電球の色温度は約2700Kであり、オレンジのような温かい光を放射します。
特徴としては、フィラメントを熱して発光させるため低効率ですが、演色性が高い(平均演色評価数Ra=100)ことがあげられます。
この白熱電球の色は、木目調の床仕上げや白を基調としたクロス張や塗りにマッチし、住宅や店舗、クリニックや介護施設などで落ち着いた雰囲気やくつろぎ感を得たいときに採用されます。
多くの照明器具の電球には2700Kの色温度のラインナップがあり、汎用性が高い照明器具(電球色)として、採用されています。
蛍光ランプ
一般的に蛍光ランプの色温度は約3000K(電球色)〜6500K(昼光色)であり、オレンジっぽいあたたかみのある光色から白っぽい爽やかな光色のバリエーションがあります。
特徴としては、電極間の放電によって生じる紫外線が管内部の蛍光物質と反応して発光します。また、3波長ランプは比較的高効率で演色性も高い(平均演色評価数Ra=84)ことがあげられます。
しかし、周囲の温度によって効率が変化することや始動時間がやや遅いこと、また管内に水銀が使われていることから、環境や省エネ面でも現在ではLEDへの切り替えが進められており、全メーカーで蛍光灯照明器具は生産終了となっていて新築や改修の現場で採用することはありません。
メタルハライドランプ
メタルハライドランプの色温度は約3100K(電球色)〜6500K(昼光色)であり、特徴としては、金属蒸気中の電極間の放電を利用しているため高効率かつ長寿命であることがあげられます。
点灯後の光束の安定に時間を要しますが、演色性も高く(平均演色評価数Ra=80〜96)、発光効率も良いため、スポーツ施設の競技場の照明や大規模建築物の吹き抜け部の照明に採用されています。しかし、昨今はメタルハライドランプもリニューアルによるLED化が進んでいます。
LED
LEDの色温度は約2400K〜5000K(電球色〜昼白色)であり、夕暮れの日の光から、昼間の太陽光のような清々しい白い光を放射します。
近年では調光調色機能付きの照明器具が多く、LEDでも、電球色から昼白色の光を放射することができます。
半導体に電気エネルギーを流すと発光することから、寿命が長い・消費電力が少ない・発熱が少ないなどの特徴があります。
また、昨今のLEDは演色性も比較的高く(平均演色評価数Ra=83〜96)、住宅用や店舗用を問わず従来の電球や蛍光灯に代わって幅広く採用されています。
照明の色温度とおすすめシーン
次に、照明の色温度とおすすめシーンを、弊社DNライティングの照明の採用例をあげながらご紹介します。
2400-3000K:ホテル・旅館
落ち着いた空間の雰囲気が演出できる2400~3000Kの電球色は、ホテルや旅館などの居室や共用部におすすめです。
「22pieces」では、床・壁・天井に間接照明を計画し、施設利用者の目に光源が直接目に入らず、光が素材を伝って空間を照らすような、安らぎたい・癒しの場を演出しました。
※使用製品はすでに生産が終了しております。後継品にてご検討ください。
【使用製品】HAS-LED FMZ (2400K) /0-100%調光
【後継品】TRM D-FMZ/0%-100%調光兼用型
続いて、「間人温泉 炭平旅館」では、ベッドのバックボードやR天井の段差部に間接照明を使って壁や天井に温かい光が伸びるようにすることで、非日常感を演出しています。
【使用製品】建築化照明 SCF-LED-APD/調光兼用型
2400-3000K:レストラン
ムードや会話を楽しみながら食事をするレストランでは、2400〜3000Kの落ち着いた電球色から温白色の色味がおすすめです。
やや照度を低くすることで、静けさや高級感を演出することができます。
「Wolfgang’s Steakhouse by Wolfgang Zwiener」では、天井や什器に色温度が低いライン型の間接照明を組み合わせたタスクアンビエント照明とし、必要照度を確保しながら高級感ある空間を演出しています。
※使用製品はすでに生産が終了しております。後継品にてご検討ください。
【使用製品】LEDモジュール FX-LED2
【後継品】FX50-LED
2800-3500K:住宅
毎日暮らす空間では、使い勝手がよくなるように、照明計画も電球色や温白色を中心にやすらぎと快適な照度が確保できる照明器具を採用したいところです。
「積水ハウス 西神中央展示場」では、天井の木目の方向に沿って細いライン照明を配灯し、外部に抜ける視線や景観軸が強調される計画としました。
※使用製品はすでに生産が終了しております。後継品にてご検討ください。
【使用製品】LEDモジュール MC-LED3
【後継品】LEDモジュール MC-LED4 D
続いて、「山のセカンドハウス」では、細長く短冊状に並べられた空間に対して、電球色を使用した異なる光がそれぞれの空間から漏れ、濃淡のある光の重なりを感じさせる非日常的な場をつくりました。
※使用製品はすでに生産が終了しております。後継品にてご検討ください。
【使用製品】
建築化照明 SCF-LED-APD
建築化照明 TRE(生産終了)
LEDたなライト TB3-LED HT(生産終了)
【後継品】
建築化照明 TRE2-APD
LEDたなライトTA-LED
3500-5000K:店舗(百貨店)
多くの人が行き交い、商品が陳列される商空間。ここでは、消費者の購買意欲を高めるような非日常空間を演出することが大切です。
また、商品の形や色、素材がはっきりとわかるような演色性・照度が高い照明を採用したいところです。
「ジェイアール名古屋タカシマヤ 5F 婦人服」では、什器照明やペンダント状の照明にDNLプロファイルシステムを採用し、細くシャープな光による展示空間の輪郭をつくることで、思わず消費者の目が向くような仕掛けとしました。
3500-5000K:店舗(スーパー)
野菜や果物、肉や魚など多様な食品が陳列しているスーパーマーケットでは、商品の色や大きさ、新鮮さが分かりやすく見えるように、温白色から昼白色の色温度を中心とした照明を採用し、 すべての消費者が商品を買い求めやすいような空間づくりを目指す必要があります。
「ザ・ガーデン自由が丘 荻窪店」では、販売エリアを分けるようなライン状のベース照明とすることで、売り場を明確化し、消費者が購入したいエリアに導かれるような空間をつくりました。
※使用製品はすでに生産が終了しております。後継品にてご検討ください。
【使用製品】建築化照明 TRE
【後継品】建築化照明 TRE2-APD
3500-5000K:店舗(アパレル)
ブランドの世界観を表現し、商品も空間の一部に見せるアパレル店舗では、商品の素材や色、形、デザインが見えやすいように比較的明るい温白色から昼白色の色温度を中心に照明を選定することがセオリーです。
しかし、ブランドイメージに合わせて、照度を落とし、非日常感を演出することも大切です。
「O」 代官山3号店は、「温故知新」や「不易流行」という相反する観念をコンセプトに、メンズアパレルを中心に扱うセレクトショップです。整然とした商品の陳列に合わせて昼白色のライン照明を配灯することで、商品メインのシンプルな空間をつくりました。
【使用製品】たなライト TFL-LED
3500-5000K:病院
清潔かつ衛生的な空間づくりが必要な病院。
照明も、病院で働く医師や看護師、技師、関連業者や患者など、すべての施設利用者に安全でクリーンな医療の姿を想起させる計画である必要があります。
「埼玉石心会病院」では、昼白色を基調とし、直接照明と間接照明を効果的に空間に織り込み、清潔感を演出しながらも直接光源を見せないことで、患者様の緊張感を和らげるよう配慮しています。
※使用製品の中には、すでに生産が終了しているものもあります。後継品にてご検討ください。
【使用製品】
建築化照明 SCF-LED-APD
LEDモジュール XC-LED(生産終了)
LEDモジュール FXD-LED(生産終了)
建築化照明 TRD(生産終了)
色温度の豆知識
ここまで、照明の色温度ごとの特性と具体的な仕様例をご紹介してまいりました。ここからは、色温度の豆知識をあげながら、今後の照明機器の選定における留意点をご紹介します。
メーカーによって色味が異なる照明の色温度
照明機器の色温度には幅があり、同じ色温度の表記であってもメーカーによって色味に違いが出るのです。
例えば、Aというメーカーの3500Kのライン照明とBというメーカーの3500Kのライン照明は、同じ温白色でも、若干色味が異なります。
よって、空間に配灯するLED器具やモジュール、ランプなどは、色味の均一性が確保できるという観点からも、出来る限り同一メーカーのものを採用することをおすすめします。
ばらつきがあるLEDチップの色温度
一般的なLEDランプや器具に使用するLEDチップには、光の色温度にばらつきがあります。
しかし、弊社製品(DNライティングのLED器具やモジュール)は、製造時にLEDの色味(色温度)が製品ごとに異ならないように工夫しています。
そのため、DNライティング製のLED器具やモジュールを採用いただける場合は、照明の光の色味が統一した均一な空間を作ることが可能です。
サーカディアン照明システムの導入
近年、サーカディアンリズムを取り入れた照明計画が、オフィス空間において主流になりつつあります。
サーカディアン照明システムとは、各照明メーカーで若干の名称の違いはあるかもしれませんが、体内時計に合わせて変容する照明機器の色温度の調光調色システムを指します。
例えば、仕事に夢中になっているとあっという間に時間が過ぎてしまい、今何時なのか、時計や外を見ないと分からないことがあります。このように、自分が思っている時間と実際に進んでいる時間に差があると、心身ともにストレスが蓄積してしまうものです。
そこで、照明機器にサーカディアンシステムを導入することで、朝は明るく色温度が高めな朝日のような光、夕方は色温度が低い夕日のような光を機械で制御することができます。
外部の全天空の光の変化に合わせて内部の光も変わるため、体内へのストレスが軽減するという効果が期待できます。初期コストは掛かりますが、快適な労働環境の整備の一環としてサーカディアン照明システムを導入する企業も増えてきています。
多様な空間でお客様のニーズを満たすDNライティング
現在、百貨店・総合スーパー・ブランドショップ・専門店などの商業施設をはじめ、オフィスビル、ホテル、病院、学校、美術館、マンション、寺社仏閣にいたるまで幅広くこだわりの光(ヒカリ)を表現できる照明メーカーとしてご用命を頂いております。
- 様々な空間に対応する多彩な品揃え
- お客様のニーズを実現するカスタマイズ力
- 多品種と高品質を支える自社生産体制
- 照明その他電気工事の請負・設計監理
照明の役割がますます多様化し、その機能への期待が高まっている中、小空間から大空間まで様々なステージで対応できる豊富な商品を揃え、お客様のニーズにきめ細かく対応する照明専門メーカーを目指しております。ぜひお気軽にご相談ください。
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