LED照明の導入時に知っておきたい基礎知識
目次
1.「色温度」とは?
2.店舗デザインでは色温度と演色性を考えた照明選びが重要
3.「演色性」とは?LED照明は発色が悪いのは本当?現代のLED照明を紹介
1.「色温度」とは?
太陽などの天体が放射する光の波長を黒体放射で近似したときの温度、その黒体が高温に熱せられると光を放射し、温度に応じて光の色が赤、橙、黄、白、青白と変わる事を利用して、光色を温度で表わしたものを色温度と呼び、単位はK「ケルビン」で表します。LEDの光源色は、JIS Z 9112(蛍光ランプ・LEDの光源色及び演色性による区分)で定められており、相関色温度と呼ばれる数値で区分され、次のような基準となっています。
単位 : ケルビン(K) は光源の光色を数値で表したもので、青みがかった光ほど数値が高く、赤みがかった光ほど数値が低く表わされます。 朝日や夕日の色温度は約2000K、白熱電球は約2800K、日中の太陽光は約5000~6500Kと言われています。ガスの炎のような青白い光は約8000Kです。
照明の色温度の種類は主に「電球色」「温白色」「白色」「昼白色」「昼光色」に分類されますが、これらの代表的な色温度はそれぞれ2800K、3500K、4200K、5000K、6500Kにあたります。
2.店舗デザインでは色温度と演色性を考えた照明選びが重要
サーカディアンリズムという言葉があります。人間をはじめとするほとんどの生物が持つ約24時間周期の生体リズム=体内リズムのことですが、このリズムを毎日規則正しく刻むために重要な役割を担っているのが太陽光です。
太陽光は朝、朝焼けの色に見られるようにオレンジっぽい色、日中は白色から黄色い色、夕方は夕焼けのオレンジっぽい色へと1日の間で色を変えます。その光の色変化に人間の身体も影響されているのです。オレンジ色の光を浴びるとリラックス状態~睡眠へと誘われ、白色から黄色い色を浴びると活動的になるとされています。夜、パソコンやスマートフォンが発する青白い光=ブルーライトを浴び過ぎると体内リズムが崩れて眠れなくなると言われていることも、こうした理由によるものです。
近年、光の色温度が人間に与える影響が認知されてきたこともあり、照明の色温度を店舗イメージや目的に応じて使い分ける方が増えています。落ち着いてゆったりくつろぐことを目的としたバーやホテルのロビー、ギャラリーなどでは、暖色系の色温度の2400~2800K前後(独特な雰囲気作りや個性的な演出には、ろうそく色の1900~2200K)、活動することが目的のオフィスでは4200~5000K、コンビニエンスストアは5000K、ドラッグストア、駅や空港のトイレですと、清潔感を演出するためにさらに青白い5000K~6500Kぐらいの色温度の照明が使われています。コンビニエンスストアやドラッグストアは、回転率を上げるためにより明るい光を用いているとも言われています。
低い色温度(2400K〜2800K):例)ギャラリー
日日 gallery nichinichi
施主:日日 gallery nichinichi / 照明計画:LIGHTDESIGN INC. / 撮影:金子俊男
白色〜昼白色(4200K〜5000K):例)オフィス
HAMADA DESIGN OFFICE
施主:HAMADA DESIGN / 設計:HAMADA DESIGN / 撮影:笹の倉舎 / 笹倉洋平
3.「演色性」とは?LED照明は発色が悪いのは本当?現代のLED照明を紹介
照明を考える際、色温度と共に考慮しなければいけないのが演色性です。太陽の光のもとで果物や野菜を見たときは色鮮やかで美味しそうだったのに、夜になって蛍光灯の光のもとで見ると同じものなのに、色がくすんで印象が違った、あるいは、ブティックで買ってきた洋服を家で改めて見てみると、なんだか色が違っているように思えた…。そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
このように、光源が発する光の性質で色の見え方が変わってくることを「演色性」と言います。そして、この演色性を数値で表したものを、平均演色評価数と言います。単位 : Ra(average of Rendering index)海外ではCRI(Color Rendering Index)と呼ばれます。
演色評価色票
上記の色の各試験色を、基準となる光源と測定する照明とで比較して色差を数値化したものが、演色評価数です。演色評価数が100に近いほど、その照明で照らされている対象物の色が基準になる光源で照らしたときの色に忠実である、再現性が高いことを表します。
15色ある試験色の内、「平均演色評価数」はR1(No.1)~R8(No.8)までの平均値です。R9(No.9)~R15(No.15)は「特殊演色評価数」で、この色の数値は含まれません。実はR9(No.9)の赤やR15(No.15)の肌の色などの数値も演色性には重要です。演色性も色温度や配光などと同様、その照明が持つ特徴のひとつです。そのため、使う場所や照射物によって重要になってきます。
肉や野菜、魚といった食材を照らす場合は演色性が高くなくても、つまり本来の色を100%再現しなくても美味しそうに、新鮮に見えたりすることがあります。例えば、肉売り場だと赤い色を強める照明の方が美味しく見えますし、ベーカリーならパンの焼き色がより美味しそうに見えるようオレンジ色の照明が効果的です。また、鮮魚売り場では新鮮に、清潔感が出るように青白い光を使って青っぽく見せる、青果店であれば野菜の緑が綺麗に見える方がいい、など商品によって求められる照明光の性質が変わってきます。
一方、博物館や美術館では、絵画や美術品が持つそのものの色や質感を忠実に再現する必要があるため、演色性の高い照明が求められます。
LED照明はこれまでの照明に比べて、色温度や演色性・配光などの様々な特徴を持つ製品のバリエーションが非常に広がりました。個々のニーズに合わせて何をどう照らしたいのか、インテリアや内装など創り上げたい空間デザイン・雰囲気に合わせた照明プランを実現するため、LED照明をうまく組み合わせて使っていただきたいと思います。
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