天井照明を取り付ける際の基礎知識|構造・電気・デザインのポイント
天井に照明を取り付けるとき、「どんなデザインにするか」だけでなく、建物の構造や電気容量、配線計画といった基礎的な知識も欠かせません。
これらを理解していないと、安全面に不安が残ったり、思い通りの明るさが得られなかったりすることもあります。
そこで、この記事では、天井照明を設置する際に押さえておきたい基本ポイントを、構造・電気・デザイン・メンテナンスの観点からわかりやすく解説します。
目次
1.天井照明取り付けの基本ポイント
2.設計・施工段階での注意点
3.天井照明の取り付け事例
4.DNライティング製品の取り付けやすさと応用性
5.意匠性・機能性に優れた天井照明
6.多様な空間でお客様のニーズを満たすDNライティング

天井照明取り付けの基本ポイント
天井照明を設置する際には、単に器具を取り付けるだけでなく、天井の構造や電気容量、光の質やデザイン性、そして施工後のメンテナンス性まで総合的に考えることが大切です。
ここでは、まず、取り付けの際に押さえておきたい基本的なポイントを整理します。
天井構造と固定方法
天井の仕上げ材や下地の状態によって、照明器具の固定方法は異なります。
コンクリートや木造、軽量鉄骨など構造によって耐荷重やビスの効き方が変わるため、事前の確認が欠かせません。
照明器具は本体の重量だけでなく付属部材も含めて総重量で判断し、メーカー指定の固定方式を守ることが安全の基本です。
また、ダウンライトのように開口を伴う器具では、天井内のスペースや断熱材との相性もチェックが必要です。
電気容量と配線計画
照明を取り付ける際には、ブレーカや回路の容量に余裕があるかを確認し、コンセントと分けて配線するのが一般的です。
スイッチは部屋の出入り口や動線に合わせて配置し、複数箇所から操作できる3路・4路スイッチ、人感センサーや調光スイッチなども検討すると使いやすさが向上します。
また、LED照明の場合は調光器や電源装置の適合性を確認しないと、チラつきや不点灯の原因になるため注意が必要です。
照明デザインと光の質
空間の用途に応じた明るさや光の色を選ぶことも大切です。リビングや寝室は温かみのある電球色、キッチンや勉強部屋は作業性を重視した白色系が向いています。
照度の目安を押さえつつ、間接照明やスポットライトを組み合わせて空間にメリハリを出すと、快適でデザイン性の高い仕上がりになります。
また、直視した際の眩しさ(グレア)を避けるために、配光や器具の位置にも配慮が必要です。
施工とメンテナンス性
施工は安全性を最優先に、有資格者による電気工事が基本です。また、取り付け後の点検や交換作業を見越して、点検口や脚立の設置スペースを確保しておくと安心です。
吹き抜けや高天井の場合は、メンテナンスが容易な昇降装置付きの器具や光源部交換型を選ぶと後々の手間を減らせます。
さらに、将来的にレイアウト変更や照明の追加を考えるなら、ダクトレールや予備配線を設けておくと便利でしょう。
設計・施工段階での注意点
DNライティング伊勢原本社
特にライン照明は、長尺で直線的に配置されることから、明るさだけでなく、デザイン性や天井構造との相性、器具の取付精度、将来のメンテナンス性まで総合的に考える必要があります。設計者と施工業者が十分に連携することが、仕上がりの完成度を左右するのです。
照明全般に共通する注意点はありますが、今回は、空間に長く連続して設置されるライン照明の特性に注目して設計・施工のポイントをまとめます。
設計者に相談すべきこと
ライン照明を計画する際には、まずその役割やデザイン意図を設計者に共有しましょう。
空間全体の演出照明として使用するのか、手元作業用のタスク照明として使用するのかによって、器具の配置や必要な明るさが変わります。
また、天井の構造や仕上げ材との相性、器具サイズや光量、他の設備との干渉を避ける配置計画なども、設計段階で確認しておくことが大切です。
施工業者に伝えること
施工段階では、設計で決定した内容を正確に伝えることが重要です。具体的には、器具の品番や仕様、重量、電源方式や調光方式、回路・配線計画の詳細を施工業者に共有します。
天井下地が軽量鉄骨(LGS)の場合は補強の有無も伝え、安全に取り付けられるように確認しておきましょう。これにより、ライン照明の水平出しや連続性が保たれ、設計意図通りの仕上がりになります。
天井照明の取り付け事例
ここでは、実際の設置事例をもとに、空間や用途に応じた照明器具の選定や配置ポイントを紹介します。住宅からオフィス、大空間まで、各事例ごとに使用製品や設置の工夫点をまとめていますので参考にご覧ください。
TRE2を用いた事例:桜十字病院
TRE2シリーズは、本体幅22mmのスリムなボディラインと、3000lm/mの明るさを備えたライン照明です。
器具内にLED電源と送りコードを搭載しているため、電源送りは最大10灯まで可能で、住宅の小空間だけでなく、オフィスや病院など広めの空間でもシャープな光のラインを実現できます。
コンパクトながら高照度、高演色LEDタイプも選べるので、、手元作業の多い場所でも快適な照明環境を提供し、天井デザインに馴染むフラットな形状が特徴です。
実際の設置事例として、熊本県の桜十字病院では、受付や待合通路にTRE2-APLを使用したベース照明や壁面間接照明が採用されています。
桜十字病院
(撮影:有限会社ブリッツスタジオ 石井紀久)
医療・福祉・予防医療を通じて、患者さま、地域の方々、職員の三者すべてが快適に過ごせる環境づくりを目指す同病院では、空間ごとに光の質や配置を工夫し、落ち着きと明るさを両立させています。
ライン照明としての柔軟性とデザイン性の高さが活かされている事例です。
TRE2を用いた事例:西原商会本社ビル CORE
TRE2の特徴を活かした別の事例として、次は西原商会本社ビルにおける照明計画をご紹介します。鹿児島県にある本社ビルでは、複数の部署が集まるオフィスとして、多様性をテーマに照明計画が行われました。
西原商会本社ビル CORE(3階オフィス)
(撮影:針金建築写真事務所)
西原商会本社ビル CORE(4階オフィス)
(撮影:針金建築写真事務所)
西原商会本社ビル CORE(5階オフィス)
(撮影:針金建築写真事務所)
各階の天井照明には個性を持たせる工夫がなされており、特に3~5階の執務室では同じTRE2器具を異なる模様に配置することで、同じ照度を確保しつつ各階に独自の雰囲気を演出しています。
色温度は上階ほど低めに設定され、建物の外観形成にも寄与しています。
TRHを用いた事例:DNライティング伊勢原本社
TRHシリーズは本体幅40mmのライン照明で、広めの空間でも安定した光量を確保できる大光量タイプです。明るさは4900lm/mと、大空間や高天井のオフィス、ホールなどに適しています。
中でもTRH S-FPLは「TRIM LINE」シリーズの一つで、7000lm(1500mmサイズ)クラスの高照度を実現しており、角ばった印象のスクエア型カバーを採用していることが特徴です。
LEDモジュール交換型で、調光兼用型、埋込み取付け可能、電源内蔵といった仕様により、大空間での安定した照度確保と洗練された空間演出を両立できます。
DNライティング伊勢原本社の新社屋では、EVホールにTRH S-FPLを設置しています。
DNライティング伊勢原本社
設置場所では、昼光センサーにより光出力を自動調節する仕組みを導入しており、業務の快適さと省エネの両立を図っています。
このように、大空間でも一定の明るさを保ちながら、洗練された空間デザインを実現できる点がTRH S-FPLの大きな魅力です。
TIM-FPLを用いた事例:DNライティング伊勢原本社
TIM-FPLは、一面発光タイプの「TRIM LINE Ichi-Men」シリーズにラインナップされている照明器具です。器具の側面が光らないため、クールでシャープな印象を演出でき、オフィス空間に洗練された雰囲気をもたらします。
幅44mmのスリムなデザインながら2000lmクラスの明るさを持ち、埋込み取付けや調光にも対応しているため、シンプルかつ高機能な照明として幅広く活用可能です。
神奈川県伊勢原にある弊社新社屋の会議室では、このTIM-FPLをライン照明として採用しました。直線的に光を配置することで、空間全体に均一な明るさを確保しながら、先進的でスタイリッシュな印象を与えています。
DNライティング伊勢原本社
ライン照明はオフィス全体の床面照度を確保しやすく、また天井や廊下など多様な場所で使える柔軟性が魅力です。
一方で、直接照明として用いる場合はまぶしさに配慮する必要がありますが、会議室のような集中を求められる空間では、シャープな雰囲気づくりと機能性を両立できる点が大きなメリットとなります。
DNライティング製品の取り付けやすさと応用性
DNライティングのライン照明は、施工のしやすさと柔軟な応用性を両立しています。
本体にLED電源を内蔵し、灯具部分は分離型となっているため、本体を取り付けた後に送り配線を行い、最後に灯具を装着するだけで施工が完了します。
これにより、現場での作業時間を短縮でき、スムーズな設置が可能です。
シリーズごとの施工の工夫
DNライティングのライン照明は、シリーズごとに施工性を高める工夫がされています。配線方法や器具の取り付け手順がシンプルに設計されており、中小規模から大空間まで、設置する場所や規模に応じて効率よく施工できる点が大きな特徴です。
TRE2:送りコードを標準搭載。中小規模の空間でも配線がシンプルに行えます。
TRM・TRH:送り端子台を搭載し、Fケーブルでの配線後に灯具を取り付けるだけで完了します。施工性に優れているため、大中規模の空間にも適しています。
多様なレイアウトに対応
TRM・TRHは、本体の底部・端部・側面部にノックアウトを設けており、電源引き込みや送り配線を自在に行えます。
この構造により、器具をコの字型やロの字型に配置しても、器具内で電源線や調光線をきれいに送り配線できます。デザイン性の高い空間構成や大規模な照明計画にも柔軟に対応できる点が大きな特長です。
製品名 | TRM S-FPL |
---|---|
特徴 | ・LEDモジュール交換型 ・入力電圧:AC100〜200〜242V ・4000lmクラス(1500サイズ) ・スクエア型カバー ・調光兼用型 ・埋込み取付け可能 ・電源内蔵 ・電源送り |
製品名 | TRH S-FPL |
---|---|
特徴 | ・LEDモジュール交換型 ・入力電圧:AC100〜200〜242V ・7000lmクラス(1500サイズ) ・スクエア型カバー ・調光兼用型 ・埋込み取付け可能 ・電源内臓 ・電源送り |
意匠性・機能性に優れた天井照明
今回は、天井照明の種類やその採用事例についてご紹介しました。
天井照明は、空間全体の明るさを左右するだけでなく、空間の印象や雰囲気を大きく変える要素となります。そのため、施設のコンセプトや床・壁・天井の仕上げ材との相性を踏まえ、適切な照明器具を選定することが重要です。
特に、直線的な光を描けるライン照明は、天井デザインに溶け込みながらも、梁や折り上げ天井などの構造を際立たせることができます。フラットでシャープな光のラインは、現代的で洗練された空間演出におすすめです。
また、同じ色温度であってもメーカーや製品によって光の質や配光の特徴が異なるため、快適な光環境をつくるためには、意匠設計者・プランナー・照明メーカーが協働し、空間全体の調和を見据えた計画を立てることが大切です。
弊社DNライティングでは、「色温度・配光・明るさ」と「設置位置・角度」をシミュレーションしていただける体感型施設を東京と大阪の2箇所に設けており、内装材のサンプルをお持ちいただけると現場に近い環境も再現可能です。
「照明にこだわった施設を目指したい」「照明選びで失敗したくない」という方はぜひお立ち寄りください。
多様な空間でお客様のニーズを満たすDNライティング
私たちDNライティングは、業務用照明の専門メーカーです。
現在、百貨店・総合スーパー・ブランドショップ・専門店などの商業施設をはじめ、オフィスビル、ホテル、病院、学校、美術館、マンション、寺社仏閣にいたるまで幅広くこだわりの光(ヒカリ)を表現できる照明メーカーとしてご用命を頂いております。
- 様々な空間に対応する多彩な品揃え
- お客様のニーズを実現するカスタマイズ力
- 多品種と高品質を支える自社生産体制
- 照明その他電気工事の請負・設計監理
照明の役割がますます多様化し、その機能への期待が高まっている中、小空間から大空間まで様々なステージで対応できる豊富な商品を揃え、お客様のニーズにきめ細かく対応する照明専門メーカーを目指しております。ぜひお気軽にご相談ください。
【お問い合わせ・ご相談】
お問い合わせは、お問い合わせフォームからお願いいたします。
