蛍光灯の2027年問題とは?対処法や理由などを解説
「蛍光灯の2027年問題」とは、特定の蛍光灯が製造・輸出入禁止となることで、照明環境の維持に影響が出る可能性があるという問題です。
2027年に向けて、オフィスや店舗、施設などでは、この「蛍光灯の2027年問題」が注目されています。
本記事では、「蛍光灯の2027年問題」の具体的な内容から、企業が今からできる対処法、そしてなぜこのような問題が起こるのかといった理由までを詳しくご紹介いたします。
目次
蛍光灯の2027年問題とは?
蛍光灯の2027年問題とは、「水銀に関する水俣条約」に基づき、2027年末をもって全ての一般照明用の蛍光灯の製造・輸出入が禁止されることで、照明環境の維持にさまざまな影響が出る可能性があることを指します。
なお、「水銀に関する水俣条約」とは、国際連合環境計画※で締結された国際条約です。
※国際連合環境計画…国連の主要機関の一つである「国際連合総会」の補助機関。
規制の対象となるのは、水銀を含む一般照明用の直管蛍光ランプやコンパクト型蛍光ランプなどで、特にこれまで広く使用されてきた「Hf蛍光ランプ」や「コンパクト形蛍光ランプ(電球型蛍光灯を含む)」が該当します。
オフィスや商業施設、工場、公共施設などでは、天井に設置された照明の多くが該当する蛍光灯で構成されている場合も多く、単なる電球の交換以上に大掛かりな設備更新やコストが発生する可能性もあります。
こうした事情から、「蛍光灯の2027年問題」は多くの事業者にとって看過できない問題となっています。
なぜ蛍光灯は2027年末に製造中止になる?
蛍光灯の製造中止の背景には、環境保護と健康被害のリスク軽減を目的とした国際的な枠組みがあります。
環境規制の強化
蛍光灯の製造中止の主な理由は、2013年に採択された「水銀に関する水俣条約」です。
同条約は、水銀のライフサイクル全体にわたるリスクを低減することを目的としており、水銀含有製品の製造や輸出入の規制が含まれています。
蛍光灯には微量の水銀が使用されているため、その使用を段階的に廃止し、水銀汚染の抑制を目指しているのです。
健康被害のリスク
水銀は、神経系や腎臓に悪影響を及ぼす可能性のある有害物質です。
蛍光灯が破損した場合には、水銀が飛散するリスクがあります。
特に、不適切な廃棄が行われると環境中に水銀が放出され、食物連鎖を通じて人体に取り込まれる可能性もあります。
このような健康被害のリスクを低減するため、水銀を使用しない照明への移行が進められています。
蛍光灯の値上げと品不足
製造・輸入の規制が強化されるにつれて、市場に出回る蛍光灯の供給量が減少し、価格が上昇する可能性が高まります。
最終的な製造中止が近づくにつれて、交換用の蛍光灯の入手が困難になることも予想されます。
このため、企業の照明設備の維持コストが増加したり、必要なときに蛍光灯が手に入らなかったりといった事態に直面する恐れがあります。
廃止になるランプの種類とタイミング
水銀に関する水俣条約により、廃止される蛍光灯の種類とタイミングは以下の通りです。

コンパクト形蛍光ランプ
(2026年12月31日製造・輸出入禁止)
一般的なオフィスビルや商業施設で多く使用されているコンパクト形蛍光ランプは、2026年12月31日をもって製造・輸入が禁止されます。
コンパクト形蛍光ランプは、比較的、小型の照明器具に用いられることが多く、身近な場所で広く使われているため、多くの企業や施設に影響が出ると考えられます。

直管蛍光ランプ
(2027年12月31日製造・輸出入禁止)
オフィスや工場、学校などで広く使われている直管蛍光ランプは、2027年12月31日をもって製造・輸入が禁止されます。
非常に普及している種類の蛍光灯であるため、これまでの主力照明であった施設では、照明の入れ替えが大規模になる可能性が高いです

環型蛍光ランプ
(2027年12月31日製造・輸出入禁止)
家庭用のシーリングライトなどで見られる環型蛍光ランプも、直管蛍光ランプと同じく2027年12月31日をもって製造・輸入が禁止されます。
環型蛍光ランプも広い範囲で使われているため、対応に追われる法人が多いでしょう。
蛍光灯2027年問題で企業が直面する課題とは
蛍光灯の製造中止は、企業にとってさまざまな課題をもたらします。
器具切り替えにコストがかかる
既存の蛍光灯器具をそのまま使い続けることは難しくなるため、LED照明などへの切り替えが必要となります。
この時、照明器具本体の購入費用だけでなく、設置工事費用なども発生するため、まとまった初期投資が必要となる可能性があります。
特に大規模な施設では、そのコストは大きな負担となることが想定されます。
蛍光灯の入手困難・価格高騰
製造・輸入が段階的に禁止されることで、市場に出回る蛍光灯の数が減少し、入手が困難になることが予想されます。
さらに、製造コストが高まることで価格も高騰する可能性があり、突発的な故障などに対応できなくなるリスクも考えられます。
業務への影響
蛍光灯の入手が困難になったり、故障しても交換できなかったりといった事態に陥ると、照明が不足し、業務環境に支障をきたす恐れがあります。
たとえば、オフィスでの作業効率の低下や、工場での安全性低下、店舗での顧客体験の悪化などが考えられます。
安定した業務遂行のためには、早めの対策が不可欠です。
LED化する理由とメリットについてさらに知りたい方は以下の記事もご覧ください。
製造中止するメーカー一覧
2027年に向けて、水銀使用製品に対する規制強化により、多くの照明メーカーが蛍光灯の製造・販売から撤退しています。
水銀に関する水俣条約に基づき、日本国内の主要な照明メーカー各社は、すでに蛍光灯の生産終了や販売終了の方針を発表しています。
以下は、現時点で製造中止を公表している主なメーカーです。
パナソニック(Panasonic)株式会社
業界最大手の照明メーカーであるパナソニックは、2019年3月に蛍光灯器具を生産終了しており、2027年9月末までに蛍光ランプの全品種を製造終了すると発表しました。
既に順次ラインアップを縮小しており、代替としてLED照明への移行を推進しています。
東芝ライテック株式会社
東芝ライテックもまた、直管蛍光ランプやコンパクト形蛍光ランプの生産を段階的に終了し、2027年9月末には全品目の製造を終了予定としています。
こちらもLED照明へのシフトを積極的に打ち出しています。
株式会社ホタルクス
パナソニックや東芝ライテックと並び、蛍光灯の主要3社として知られるホタルクスでは、直管蛍光ランプ(一般形=ハロ蛍光体)を2026年12月に直管蛍光ランプ(3波長形)を2027年12月に、丸管蛍光ランプ(3波長形)を2027年12月に生産終了すると発表しています。
DNライティング株式会社
DNライティング株式会社は、店舗・施設照明に強みを持つ照明器具メーカーで、すでに蛍光灯器具の製造を2016年で終了しています。蛍光ランプにつきましては2027年12月で生産終了します。
具体的なメーカー名や製品ラインナップは各社のWebサイトで公表されていますが、多くのメーカーが対象製品の供給を段階的に終了させている状況です。
詳細については、主要メーカーの公式情報を確認することが重要です。
蛍光灯生産終了に伴う補助金・制度(参考)
蛍光灯からLED照明への切り替えにはコストがかかりますが、国や地方自治体では、省エネルギー化を推進するため、さまざまな補助金や助成金制度を用意しています。
これらを活用することで、導入コストを大幅に削減できる可能性があります。
【東京都】ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業
「ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業」は、東京都が都内の中小規模事業所向けに実施している事業で、都内の業務・産業部門のCO2排出削減を進めるために設けられたものです。
LED照明への切り替えも対象となる可能性があります。
【東京都】LED照明等節電促進助成金
「LED照明等節電促進助成金」は、製造業を営む中小企業者等が、節電のための計画を策定し、その計画に必要な設備(LED照明器具、デマンド監視装置等)を自社の工場に設置する際の導入経費の一部を助成する制度です。
節電診断を受けることが要件の一つになっています。
節電診断は、申請から実施までに必要書類完備後2~3週間、報告書の交付までに診断後約1ヵ月かかるため、早目の申請が必要です。
【東京都千代田区】千代田区省エネルギー改修助成制度
「千代田区省エネルギー改修助成制度」は、千代田区が区内の住民や事業者に対して、住宅やマンション共用部、事業所ビル等で省エネルギー機器等への改修を行う際に、費用の一部を助成する制度です。
LED照明への改修に対する助成金額は、対象経費の50%となっています。
【東京都中央区】事業所用自然エネルギー・省エネルギー機器等導入費助成
東京都中央区が実施する「事業所用自然エネルギー・省エネルギー機器等導入費助成」は、区内の事業所から排出される二酸化炭素を削減するため、自然エネルギー機器や省エネルギー機器等の普及を進めるための制度です。
助成対象機器にLEDランプが含まれています。
【東京都荒川区】商業・サービス業活力創出支援事業補助金
「商業・サービス業活力創出支援事業補助金」は、荒川区が区内の商業・サービス業の中小企業者向けに、社会構造の変革や市場環境へ対応するために行う販売活動、役務提供活動その他事業活動に直接的に必要な設備等の導入やマーケティング活動に係る経費を補助するものです。
LED照明取付工事が対象となっており、補助率が4分の1、補助額の上限は100万円となっています。
【東京都葛飾区】かつしかエコ助成金
「かつしかエコ助成金」は、区内で再生可能エネルギーの利用促進や、省エネ・節電対策として、太陽光発電システムや省エネ機器などを個人や事業社が導入する際に、費用の一部を補助するものです。
助成対象機器にはLED照明機器が含まれています。
【経済産業省】省エネルギー投資促進支援事業費補助金
「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」は、経済産業省が実施している全国規模の補助金で、さまざまな業種で横断的に使われる汎用的な15設備の更新に対応する補助金です。
LED照明の導入も対象となる可能性があります。
【国土交通省】既存建築物省エネ化推進事業
「既存建築物省エネ化推進事業」は、国土交通省が、建築物ストックの省エネルギー改修等を促進するため、民間事業者等が行う省エネルギー改修工事や省エネルギー改修工事に加えて実施するバリアフリー改修工事に対し、国が事業の実施に要する費用の一部を支援するものです。
高効率照明への改修も対象に含まれる場合があります。
尚、これらの補助金や助成金は、それぞれ内容や募集期間が異なります。
各制度の詳細は、公式サイトで最新情報を確認してください。また、利用のお申し込みやお問い合わせは、直接各自治体へお願いします。
上手にLED化する方法については以下の記事もご覧ください。
蛍光灯からLEDに変えるならDNLがおすすめ
「蛍光灯の2027年問題」への対策としてLED照明への切り替えを検討されている企業には、DNライティングの照明ソリューションがおすすめです。
DNライティングは、ライン照明の分野で長年の実績と高い技術力があり、さまざまな施設に最適なLED照明を提供しています。
豊富な導入実績と専門知識を持つスタッフが、お客様の課題を解決いたします。
DNL製品同士での切り替えであれば、用途に応じた色や明るさ、長さバリエーションにより最適なLED製品を選ぶことができます。
※調光・配線方法に関しましては別途ご相談ください。
ぜひ、この機会にDNライティングのLED照明への切り替えをご検討ください。
DNライティングについて詳しくはこちら

施工事例
【徳川美術館】
保存と鑑賞、その両立を目指す光文化財を未来へ守りながら、最高の鑑賞体験を提供できるよう展示環境の最適化に取り組んできた。
発色に優れ、作品本来の美しさを引き出すため高演色LEDを使用し、温かみのある色温度が漆工・絵画・書など和の伝統美を自然に引き立てている。

実機を見学したい方へショールームのご案内
東京と大阪の照明実験空間STUDIO E139(〒141-0031 東京都品川区西五反田1-13-5)とlab E135(〒564-0051 大阪府吹田市豊津町54-6) にて、実機を御覧いただき実際の光の出方の実験もして頂けます。
下記のボタンよりご予約をお願いします。
※密を避け安心して御覧いただくために、人数を限定してご案内いたします。
DNLの蛍光灯をお使いのみなさまへ
これらの蛍光灯をお使いの方は是非お問い合わせください!




まとめ
「蛍光灯の2027年問題」は、企業や公共団体にとって無視できない重要な課題です。
水銀に関する水俣条約に基づく蛍光灯の製造・輸出入禁止は、既存の照明設備の維持を困難にし、業務運営に影響を及ぼす可能性があります。
この問題に対応するためには、早期に照明設備の現状を把握し、計画的にLED照明への切り替えを進めることが不可欠です。
国や地方自治体が提供する補助金や助成金制度を積極的に活用することで、導入コストを抑えながらスムーズな移行を実現できます。
また、DNライティングのような専門メーカーの支援を受けることで最適なLED照明ソリューションを導入でき、コスト削減だけでなく、環境負荷低減や企業価値向上にもつながるでしょう。
2027年までに余裕を持った対策を講じることで、安心して事業を継続できる環境を整えることが可能です。
LED切り替えに関するよくある質問は以下よりご覧ください。