店舗照明のLED化工事にかかる費用はどれくらい?施工時の確認ポイントも解説
店舗の照明環境は、顧客の購買意欲や従業員の作業効率に直結する重要な要素です。
また、近年、電気代の高騰や人手不足への対応として、省エネ設備への投資は企業にとって重要な経営課題となっています。
その中で、照明のLED化は、コスト削減と業務効率化の両立に寄与する施策として注目されています。
特に、世界的な水銀規制に伴い、2027年末までにすべての一般照明用蛍光ランプの製造・輸出入が終了します。
このため、早めのLED化が、将来的な照明器具の欠品リスクやメンテナンス費用の高騰を防ぐ鍵となります。
一方で、LED化を検討する際に、「費用はどれくらいかかるのか」「工事は必要なのか」と悩まれる方も多いのではないでしょうか。
店舗LED工事には「工事の種類」「既存設備との兼ね合い」「費用の内訳」など、事前に把握しておくべきポイントが多く、適切な判断が求められます。
そこで、この記事では店舗照明をLEDへ交換する際の費用相場や工事の種類、施工前に必ず確認すべきポイントまでご紹介いたします。特に、店舗運営や設備管理を担当されている方に向けた内容です。
目次
1.店舗照明をLED化するメリット
2.店舗のLED照明工事の施工方法
3.店舗のLED照明工事にかかる費用相場
4.店舗のLED照明工事で確認すべきポイント
5.まとめ
店舗照明をLED化するメリット
店舗照明をLED化することで、主に次の3つの効果が期待できます。
電気料金の高騰対策としての省エネ効果
昨今の電気料金の高騰は、店舗経営において無視できない固定費の増加をもたらしています。
LED照明は、一般的に従来の蛍光灯と比較して約50%、水銀灯と比較すると約70%の消費電力削減が期待できます。
このため、LED照明に切り替えることにより、消費電力が下がり、月々の電気代を削減できます。
メンテナンス工数の削減と交換頻度の低下
LEDの光源寿命は、一般的に約40,000~50,000時間(※一定の明るさを維持できる目安)とされており、従来の蛍光灯の約4倍前後に相当します。
特に、店舗の天井が高い場合や、複雑な什器が配置されている場合、電球交換だけでも専門業者への依頼や足場の設置が必要となり、その都度コストが発生します。
LED化によって交換頻度を減少させられれば、メンテナンスの手間と外注費も大幅に削減できます。
演色性の向上による商品や内装の魅力アップ
演色性とは、光が当たった際の色味の再現性を表す指標で、太陽光で見た色に近いほど演色性が高いとされます。
近年のLED照明は高い演色性を持つ製品が多く、生鮮食品や衣料品、内装の色彩をより鮮やかに、かつ忠実に映し出すことが可能です。
LED照明によって店舗の雰囲気を明るく保てるだけでなく、商品の魅力を最大限に引き出すことで、顧客の購買意欲を高める効果も期待できるでしょう。
店舗のLED照明工事の施工方法
店舗でLEDを導入する場合、電球を差し替えるだけでは済まないケースが多々あります。
安全かつ効率的に運用するためには、適切な工事を実施する必要があります。
照明器具を丸ごと新設・交換する手法
「LED一体型器具」への交換です。
器具そのものを新しく設置するため、デザインを一新できるだけでなく、最新の省エネ性能をフルに発揮できます。
また、内部に古い安定器が残らないため、発熱や故障のリスクを最小限に抑えられるのがメリットです。
店舗のリニューアルや改装のタイミングで選ばれることが多い手法となっています。
既存器具の配線を流用するバイパス工事の手法
既存の照明器具の筐体(枠組み)を活かし、内部の安定器を切り離してLED専用の配線へ接続する手法が「バイパス工事」です。
器具本体を購入するコストを抑えられるため、初期投資を低減したい場合に有効です。
ただし、器具内部部品(安定器、ソケット、配線)が劣化している場合は、不具合が生じる可能性があります。
また、誤った施工を行った場合、発熱や故障などのリスクがあるため、施工前の状態確認と適切な工事が不可欠です。
導入にあたっては、日本照明工業会の指針に基づき、規格に適合したLEDの使用※1と、安全基準を遵守した改造工事※2が強く求められます。
なお、既存の器具に手を加える「改造」を伴うため、メーカーによる器具本体の製品保証は対象外となる場合がある点にも注意が必要です。
※1「AC 直結G13口金直管LED光源安全規格」一般社団法人 日本照明工業会 2024年11月15日改正
https://www.jlma.or.jp/siryo/pdf/kokai/JLMA301-2024.pdf
※2「既設の蛍光灯器具をAC直結G13口金直管LED光源用に改造工事する場合の注意」一般社団法人 日本照明工業会 2021年4月21日制定
https://www.jlma.or.jp/siryo/pdf/kokai/guide301.pdf
店舗のLED照明工事にかかる費用相場
店舗照明のLED工事費用は、大きく分けて「器具・部品代」「工事費」「諸経費」の3つで構成されます。
1台あたりの交換費用は数千円から数万円と幅があり、店舗全体で考えると数十万円から数百万円規模の予算が必要になることが一般的です。
小規模な物販店や飲食店の場合は、費用を抑えられる傾向があります。
一方、天井高がある施設や、特殊なスポットライトを多用するデザイン重視の店舗では、高額になるケースもあります。
正確な費用を算出するためには、現地調査に基づいた見積もりが欠かせません。
また、既存器具の廃棄費用(産廃処理費)や、高所作業車・足場代が別途かかる可能性があります。
店舗のLED照明工事にかかる費用については、下記の記事もご覧ください。
店舗のLED照明工事で確認すべきポイント
工事を実施する前には、技術的な側面と運用面の両方からチェックが必要です。
既存の配線方式と器具の劣化状況の確認
店舗が築15年以上経過している場合、照明器具の内部にある電線や安定器などが耐用年限※の目安を迎えている可能性があります。
日本照明工業会では、照明器具全体の適正交換時期を10年、耐用の限度を15年の目安としています。
このため、バイパス工事を検討していても、現場の状態によっては器具ごとの交換が推奨されるケースがあります。
事前に専門業者による診断を受けることが重要です。
※耐用年限とは、照明器具等が部材の経年劣化等によって不具合が生じる、または不具合が生じる頻度が高くなり交換を要するまでの使用期間をいい、「適正交換時期(8年〜10年)」と「耐用の限度(15年)」があります。
店舗の業種・業態に最適な照度(明るさ)の再設計
JIS規格などを参考に、店舗の業態に合わせた照度(明るさ)を再設定することも重要です。
目安として、物品販売店では最重要陳列部に2000lx、重要陳列部やレジ周りには750lxが推奨されています。
このように照度にメリハリをつけることで、電力消費を抑えつつ快適な空間づくりが可能になります。
空間の印象を左右する色温度の選定
色温度とは、光の色合いを表す物理的な指標で、K(ケルビン)という単位を用います。
たとえば、「昼白色(白っぽい光)」は清潔感や活気を与え、「電球色(暖色系の光)」はくつろぎや高級感を演出します。
店舗のコンセプトに合わない色温度を選んでしまうと、ブランドイメージを損なう恐れがあります。
このため、単に「明るさ」だけでなくブランドイメージやターゲット顧客に合わせて色温度を選定することが重要です。
商品の見え方を左右する配光角(光の広がり)の確認
配光角とは、光がどの範囲に広がるかを示す指標です。
光の広がり方(配光角)によって、店舗の表情は一変します。
主な違いは以下の通りです。
- 狭角(スポット型)…特定の商品やディスプレイを強調
- 広角(拡散型)…空間全体を均一に照らす
配光設計を適切に行うことで、売場の魅力向上や導線設計の最適化にもつながります。
たとえば、アパレル店舗では商品にスポットライトを当てることで視線誘導がしやすくなりますし、スーパーやオフィスでは広角照明で均一な明るさを確保することが重要になります。
営業スケジュールへの影響と施工タイミングの検討
LED化のための施工タイミングは、店舗の場合、営業時間外や夜間が基本となります。
施工によって陳列棚の移動が必要になるか、深夜割増料金が発生するかどうかなど、営業への影響を最小限にするための打ち合わせを施工業者と綿密に行いましょう。
まとめ
店舗照明のLED化は、2027年の蛍光灯製造終了を見据えたBCP(事業継続計画)対策であると同時に、収益性を改善するための攻めの投資でもあります。
初期の工事費用は発生しますが、電気代の削減やメンテナンス負担の軽減によって、中長期的な経営へのメリットは大きいといえるでしょう。
成功のポイントは、自社の店舗に最適な「工事方法」と「光のデザイン」を適切に選定することです。
バックオフィスの担当者としては、コストだけでなく、店舗の魅力を高める付加価値についても考慮しながら計画を進めることが、社内の理解を得る近道となります。
今回ご紹介した費用感や確認ポイントを参考に、まずは信頼できる照明業者へ現地調査を依頼し、具体的なシミュレーションを開始してみてはいかがでしょうか。
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