LEDのPWM調光方式とは?仕組み・特徴・導入時の注意点まとめ

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LED照明の明るさや色温度を調整する際に広く採用されているのが、「PWM調光方式(パルス幅変調制御)」です。

しかし、PWM調光方式と聞いても、「具体的にどういう仕組みなのか」「どういう場面で活用されているのか」と疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、LED照明におけるPWM調光方式の基本的な知識として、仕組みや特徴、導入メリット、活用事例などをわかりやすく解説していきます。

目次

1.LED照明におけるPWM調光方式とは?
2.LEDのPWM調光はどんな場面で使われる?
3.LED照明のPWM調光方式のメリットと注意点
4.LED照明におけるPWM調光の導入事例
5.明るさや色温度を細かく調整してくれるPWM調光方式
6.多様な空間でお客様のニーズを満たすDNライティング

 

 

LED照明におけるPWM調光方式とは?

パティーナ大阪(撮影:スタジオマップ/前田誠士) パティーナ大阪
(撮影:スタジオマップ/前田誠士)

PWM調光方式とは、LED照明の明るさを制御する方法のひとつ。PWMとは「Pulse Width Modulation(パルス幅変調)」の略で、電流を高速でオン・オフすることで光の出力を自在に変化させます。

ここからは、PWM調光方式の特徴と仕組みについて、さらに詳しくお伝えします。

LED照明のPWM調光方式の特徴

LED照明におけるPWM調光方式の最大の特徴は、LEDの特性を損なわずに、自然で安定した明るさを実現できることです。

そもそもLEDは電流の変化に敏感で、わずかな増減でも光量が大きく変化し、場合によっては壊れてしまうことも珍しくありません。そのため、単純に電流量をアナログ的に変化させる制御では、発光効率の低下や色味の不安定化が起こりやすくなります。

しかし、平均的な光量を制御するPWM調光方式であれば、LED本来の明るさや色味を保ったまま調光が可能となり、性能を損なわずに快適な光環境を作ることができます。

LEDの特性を活かせるそのメリットから、PWM調光は幅広い用途で活用されています。住宅の間接照明やオフィス照明などの状況に合わせた照度調整はもちろん、色温度の調整や演出照明といった空間の雰囲気づくりにも最適です。

LED照明のPWM制御方式の仕組み

PWM制御方式の仕組みは、「点灯と消灯を高速で繰り返し、その点灯時間の比率を変えることで明るさを調整する」という非常にシンプルなものです。

人間の目には残像効果があることから、数百Hz以上の高速点滅は「ちらつき」として認識されません。そのため、点灯している時間の割合(デューティ比)を変化させるだけで、視覚的には連続的な調光として感じられるのです。

例えばデューティ比が50%なら、入力の半分の時間だけLEDが点灯しているため、見た目には明るさが半分程度に感じられます。100%なら最大の明るさ、10%なら非常に弱い明るさという風に自在に制御できます。

このように、PWM調光方式は仕組みが単純でありながら、出力の予測が容易で安定した制御が可能なため、LED照明の調光方式として幅広く活用されています。

関連記事:建築化照明の種類・代表的な手法とは|建築構造と一体化するDNL製品

LEDのPWM調光はどんな場面で使われる?

PWM調光は、LEDの明るさや色温度を細かく調整できるため、日常生活から専門的な施設まで幅広く採用されています。主に利用されている場所は以下の通りです。

  • 住宅照明(リビング・寝室など)
  • 商業施設(店舗、ホテル、映画館、ギャラリーなど)
  • 医療・福祉施設(繊細な照明制御が必要な場所など)

PWM調光は、季節やシーンに合わせて空間の雰囲気を大きく変えることが可能です。住宅照明では、用途や時間に合わせて明るさを切り替えることで、空間を多目的に活用できます。

また、空間演出だけがPWM調光のメリットではありません。

例えば美術館や博物館では、展示物の色彩を正確に再現しつつ、光による変退色リスクを最小限に抑えることが重要です。そこで、紫外線や赤外線の放射量が少ないという特性を持つLEDと、PWM制御による正確な輝度管理を組み合わせることで、文化財の劣化の進行を抑制する効果が期待できます。

さらに、PWM調光は照明の動的制御にも長けているため、人間の生体リズムである「サーカディアンリズム」の維持にも役立ちます。これは医療・福祉施設などで取り入れられており、入院患者や利用者の単調になりがちな生活にメリハリを与えてくれるのです。

単なる明暗調整にとどまらず、光を繊細かつ精密に制御できる点こそ、PWM調光の最も大きな強みと言えるでしょう。

関連記事:廊下を埋め込み照明で魅せる|長い廊下にもおすすめの商品

LED照明のPWM調光方式のメリットと注意点

奥村組 西川口寮(撮影:荒木文雄) 奥村組 西川口寮
(撮影:荒木文雄)

LED照明の調光に広く採用されているPWM方式には、照度や色温度を滑らかに調整できるという大きな利点があります。しかしその一方で、導入や運用にあたっては注意すべきポイントも存在します。

ここでは、PWM調光方式のメリットと注意点について、わかりやすく解説していきます。

PWM調光方式のメリット

PWM調光方式には、広く採用されるだけの多くのメリットがあります。代表的なメリットとして、以下のような内容が挙げられます。

  • ロスが少なく高効率
  • デューティ比にほぼ比例して明るさが変わる
  • 回路がシンプル
  • 0~100%のスムーズな明るさ調整
  • LEDの特性(電流制御型)に適している
  • デジタル制御との親和性が高い
  • 調光器1台に接続できる照明器具の台数が多い

特に「1台の調光器で多数の照明器具を制御できる点」は、あまり知られていないメリットのひとつです。 PWM調光は、調光器が照明器具に微弱な信号を送って明るさを制御する方式ですが、電力供給は別系統で、調光器自体に大きな負荷はかかりません。つまりPWM調光の接続可能台数は、電力容量ではなく信号の伝達能力で決まります。 したがって、1台の調光器で多数の照明器具を制御したい場合は、PWM調光方式がおすすめです。

PWM調光方式の注意点

メリットの多いPWM調光方式ですが、いくつかの注意点もあります。PWM調光を導入する際に気を付けておきたい注意点は、以下の通りです。

  • ちらつき(フリッカー)が起こることがある
  • 電磁ノイズ(EMI)が発生することがある

PWM調光方式では電源のオン・オフを高速で繰り返すため、周波数が低いとちらつきを感じたり、機器によってはノイズや誤作動を引き起こしたりする可能性があります。

そのため、導入時にはフリッカー対策やノイズ対策が欠かせません。

例えばフリッカーやノイズ対策としては、高周波数PWMに対応した調光器や電磁ノイズ対策がされているLEDドライバーを選ぶようにしましょう。また、配線の仕様など施工に関する注意事項を取扱説明書で確認することも重要です。

PWM調光方式には注意点もありますが、対策を講じることで問題なく使用できます。PWM調光を導入する際は、施工上の注意や対応機器の選定にも気を配るようにしましょう。

LED照明におけるPWM調光の導入事例

LED照明のPWM調光は、その精密な明るさ制御や色温度調整の特性を活かして、さまざまな場面で採用されています。

ここからは、弊社DLライティングでの実際の導入事例をもとに、PWM調光がどのように活用されているのかをご紹介します。照明計画や空間演出の参考として、ぜひご覧ください。

PWM調光の導入事例1:大阪電気通信大学 寝屋川キャンパス OECUイノベーションスクエア

まずは、PWM調光の高い照度を活かした事例として、「大阪電気通信大学 寝屋川キャンパス OECUイノベーションスクエア」をご紹介します。

大阪電気通信大学 寝屋川キャンパス OECUイノベーションスクエア(撮影:大阪電気通信大学(コンベンションホール) 大阪電気通信大学 寝屋川キャンパス OECUイノベーションスクエア
(撮影:大阪電気通信大学(コンベンションホール)

この事例では、小梁にPWM調光を採用することでライン状の光を生み出し、広い無柱空間の構造美と空間のリズムを際立たせました。

加えて、天井からのバウンド光により空間全体の照度を効率的に確保。PWM調光で明るさのメリハリを付けつつ、快適で居心地の良い環境を演出しています。

規則的でありながら柔らかさを感じさせる直線の光は、学生の集中力や発想力を促し、学びのモチベーションを高める効果も期待できます。

建築化照明 TRE2-APL

製品名 建築化照明 TRE2-APL
特徴 ・TRIM LINE LED照明器具(トリムライン) ・スクエア型カバー ・調光兼用型 ・コンパクト型 ・LEDモジュール交換型 ・埋め込み取り付け可能 ・電源送り

PWM調光の導入事例2:徳川美術館

数々の国宝や重要文化財を収蔵する徳川美術館にも、PWM調光が多用されています。

日本の美を未来に繋ぎ続ける徳川美術館は、訪れた人々に最高の鑑賞体験を提供できるよう展示環境の最適化に取り組んできました。LED照明としてPWM調光方式を採用したのも、その一環です。

徳川美術館(撮影:佐藤久 徳川美術館
(撮影:佐藤久

展示スペースでは、発色に優れ、作品本来の美しさを引き出す高演色LEDを使用。温かみのある色温度が漆工・絵画・書といった和の伝統美を自然に引き立てています。

さらに、LED照明は光による劣化が少ないことから、展示物をより良い状態で未来に繋げることができます。保存と鑑賞、その両立を目指す光こそがPWM調光なのです。

なお、LEDは必ずしも変退色を防ぐわけではありません。LEDに含まれる580nm以下の可視光によって、被照射物が変色・退色することもあります。

建築化照明 TRM D-FPL

製品名 建築化照明 TRM D-FPL
特徴 ・TRIM LINE LED照明器具(トリムライン) ・調光兼用型 ・4000lm(500サイズ) ・LEDモジュール交換型 ・埋め込み取り付け可能 ・電源内蔵

PWM調光の導入事例3:パティーナ大阪

最後にご紹介するのは、大阪府のラグジュアリーホテル「パティーナ大阪」の事例です。

大阪城や難波宮遺跡といった歴史ある土地の記憶をデザインに落とし込んだ館内には、PWM調光によって演出された調和の光が満ち、空間全体に落ち着きと品格をもたらしています。

パティーナ大阪(撮影:スタジオマップ/前田誠士) パティーナ大阪
(撮影:スタジオマップ/前田誠士)

写真は同ホテル20階「SONATA BAR & LOUNGE」のもの。シート上の壁面間接照明が穏やかな光を放ち、ゲストを包み込むような心地良い雰囲気を演出しています。

時間を忘れて過ごせる上質な空間を実現できるのも、PWM調光ならではの魅力です。

建築化照明 SCF-LEDN-APL

製品名 建築化照明 SCF-LEDN-APL
特徴 ・Seamless type LED照明器具(シームレス タイプ) ・調光兼用型 ・コンパクト型 ・ナロー配光タイプ ・高演色も受注生産可 ・Ra98(自然光)も受注生産可 ・電源内蔵

なお、PWM調光方式は0~100%のスムーズな調光が可能ですが、下限値は機器によって異なります。

何故なら一部の調光器や照明器具では、完全に0%(消灯)にはならず、ごくわずかに点灯した状態が下限値となることもあるからです。これは故障ではなく、安全性や設計上の仕様によるものです。

弊社DNライティング製品の場合、下限値は0%・3%・5%と照明器具によって異なります。用途や設計に応じてご相談ください。

また、弊社の調光用器具や別置き電源装置は、PWM制御・位相制御・DALI制御など、多くの他社メーカーの調光器との動作確認を実施済みです。互換性の面でも安心して導入いただけます。

なお、弊社HPでは、他社の適合調光器について詳しく検索できます。こちらもぜひご活用ください。

調光器検索|DNライティング株式会社

明るさや色温度を細かく調整してくれるPWM調光方式

今回は、LED照明におけるPWM調光方式の特徴や導入事例についてご紹介しました。

PWM調光方式は、LED照明の明るさや色温度を自由に、かつ正確に調整できる制御方式です。電流を高速でオン・オフすることで光をコントロールするため、LEDの特性を損なわずに滑らかな調光を実現できます。

住宅や商業施設といったさまざまな場所で採用されており、快適な住環境づくりや印象的な空間演出、展示物・作品の保護、生体リズムに配慮した光環境のサポートなど、現代の多様なニーズにも柔軟に対応できるのが大きなメリットです。

なお、PWM調光方式ではフリッカー対策・ノイズ対策が必要になることがあります。さらに、調光の下限値によって適切な照明器具が異なるため、照明計画に基づいて最適な製品を検討することが重要です。

弊社DNライティングでは、色温度・配光・明るさの調整や設置位置・角度の工夫によって、空間の印象をシミュレーションすることが可能です。店舗設計や照明計画の際には、内装材のサンプルや照明器具の選定をもとに、より現場に近い環境での検討ができます。

「照明にこだわった空間を目指したい」「照明選びで失敗したくない」という方はぜひお立ち寄りください。

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多様な空間でお客様のニーズを満たすDNライティング

多様な空間でお客様のニーズを満たすDNライティング 私たちDNライティングは、業務用照明の専門メーカーです。

現在、百貨店・総合スーパー・ブランドショップ・専門店などの商業施設をはじめ、オフィスビル、ホテル、病院、学校、美術館、マンション、寺社仏閣にいたるまで幅広くこだわりの光(ヒカリ)を表現できる照明メーカーとしてご用命を頂いております。

  • 様々な空間に対応する多彩な品揃え
  • お客様のニーズを実現するカスタマイズ力
  • 多品種と高品質を支える自社生産体制
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照明の役割がますます多様化し、その機能への期待が高まっている中、小空間から大空間まで様々なステージで対応できる豊富な商品を揃え、お客様のニーズにきめ細かく対応する照明専門メーカーを目指しております。ぜひお気軽にご相談ください。

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