匠弘堂Interview 番外編「夜のライトアップはどう?社寺建築と照明」

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匠弘堂Interview 番外編「夜のライトアップはどう?社寺建築と照明」

 

テレワーク時間が増した2020.4月、「宮大工の今」「寺社建築に求められる照明作り」に関する記事を公開したところ、大変沢山の感想や質問をいただきました。そのうちの一つ、寺社建築における夜のライトアップについての質問内容を取材先 社寺建築 匠弘堂(https://www.kyoto-shokodo.jp/)横川社長と共有*、議論いたしましたので、その内容を急遽、番外編として短文に纏めてみました。

*個人情報保護を十分に配慮したうえでお問い合わせの中身のみ共有しております。

 

Q)「本来、社寺の外部照明は灯篭程度しかなく、夜の静寂さが尊ばれていたのではないかと思っています。ところが、昨今、集客のために夜間照明が流行っていますが、違和感を覚えます。このことについて宮大工さんのご意見をお伺いしたいです。」社寺建築の外観照明についての意見として、このような問い合わせを頂いたのですが、横川さん、どうお感じでしょうか?

 

A)昨今の技術の進化と現代人の刺激への欲求は、実生活においてしっかり根付き、特にインターネットやcloud環境をベースとしたITツールやゲームや音楽などの娯楽は、日常生活の一部となっております。一方、そもそも高度な頭脳を持ちえた人間は、物質、空間そのものの美しさを追求したい欲求を持ち合わせているのではないでしょうか?

つい1ヶ月前、桜のシーズン、新型コロナの影響はありましたが今年は特に奇麗だったように思います。その桜のほとんどは、人為的に植えられたものです。秋の真っ赤な紅葉は、少し感傷的な美しさを感じさせてくれます(個人的感想)。これら日本庭園は 高度な匠の技を伝承してきた庭師の力によるものが殆どです。鎌倉時代には禅の考え方が入り、華美を遠ざけ本質だけを追求すると「枯山水」になったりしています。これは庭の話ですが、私自身は建築も人為的なものととらえています。造ったオーナーによっては「日光東照宮」的な豪華絢爛なものや、一方では禅宗建築に見られる簡素な方丈型本堂があります。戦国時代の大阪にあった石山本願寺は周囲に掘りを巡らせた要塞だったと言われています。

宮大工として、心の拠り所になるような建物を意識して仕事をしています。従い、平和な世の中になったものの、疲れた現代人が神社仏閣に「静寂の空間」を求めることはごく自然ですし、私も実は同じ気持ちです。

それと同時に、かつて夜には決して訪れることはなかった日本庭園にライトアップが施され、より多くの人が夜桜や紅葉を楽しみ、その背景の建築にも照明を当てて夜の空間演出に使われ、それを楽しむ人が多いことも自然なことと考えており、私自身、抵抗はありません。むしろ新しい使われ方として活用されていることに賛同します。ことさら京都人は東寺の五重塔が夜のライトアップを毎晩行っているので、慣れっこになっていて違和感が少ないのかもしれません。桜や紅葉シーズン限定のライトアップの場合は非日常を感じられるので、実は演出としてはこちらの方がベターかもしれません。どっちやねん(笑)

 ところで、私たち宮大工が社寺建築を造営する時に特に苦労する部分は、屋根の「軒裏」です。(垂木・斗組など)ところが日中の明るい陽射しの下ではコントラストが強く、人間の目やカメラでさえ真っ黒になって良く見えません。せっかくの腕の見せ所が、実は一般の人が全く意識せず「見えない、見てない」現実があるのです。これは正直、辛いです。

一方、建築物に向けた夜のライトアップは正に私たちの苦労の箇所を主役として引き立て、「見える」ようにしてくれます。この視点は画期的なこととして、もっと注目されて然るべきだと思っています。それゆえ、社寺建築の魅力をもっと知って欲しい点から、私はライトアップには賛成です。そして同時に照明を当てて終わりではなく、建築の見どころ・素晴らしさを伝えることを私達宮大工が時代に求められた使命として果たす必要があります。ところが、現時点ではこの部分がなおざりにされていることが問題です。 まだまだ私たちがしなければならないこと山積です。そのようなことを気づかせていただいた質問者様に感謝申し上げます。

宗教はもちろんですが、人のいろいろな楽しみ方に社寺建築が必要とされていることにとても有難い気持ちになりました。新型コロナウイルス、少し収束に向けての光が見えてきたように感じます。早くまた楽しい日常が戻りますように。

 

 

参考情報

 

syokodo_ex1.jpg
1.知恩院御影堂(国宝):ライトアップされたものは昨年修理が完了した。

 

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2.本興寺祖師堂:昼間の黒い軒裏。2020年竣工(匠弘堂施工)

 

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3.紅葉ライトアップ:2019年知恩院境内

 

(写真提供 横川 総一郎 (有限会社 匠弘堂))

(取材/文 やすあきを)

 

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