展示スペースの印象が変わる照明と当て方|展示物の魅力を引き出すポイントとは
展示スペースは照明の当て方一つで、見る人の印象が大きく変わります。
また、展示物の魅力をUPさせるためには、対象物の大きさや色、質感などによって、光を照射する角度や量、色温度を変える必要があります。
今回は、展示スペースの印象を変え、展示物の魅力を引き出す照明のポイントとあわせて、弊社おすすめの製品を事例もご紹介します。
目次
展示用照明とは
まずは、展示用照明の種類についてご説明します。展示用照明は以下の3つに大きく分けることができます。
バーライト
バーライトとは展示物の上や下、奥から光を均一に照射し、展示物の色や形、輪郭をはっきりと見せることがでる照明です。建築空間や什器に組み込む手法と既製品を外付けする手法とがあります。
展示したい空間を均一に照らすことより、展示物のレイアウトや設置位置などが決まってない場合でもおしゃれに魅せることが可能です。
展示物を美しく見せるポイントとしては、できるだけライン上の光源が目に飛び込んでこないように見付が薄い照明器具を採用するか、照明器具が目立たない配置を検討することが大切です。
ダウンライト
ダウンライトは、展示空間の直下を明るく照らすことができる方法です。
「この展示スペースにはこれを置く」などのように、展示物の配置やレイアウトが決まっている場合に有効です。
シンプルで汎用的な展示用照明の手法なので、店舗だけではなく一般住宅でも採用しやすいことが特徴です。
スポットライト
スポットライトは、光源を装填した機械部分を上下左右に動かすことができるため展示スペース全体ではなく、複数の展示物それぞれに光を照射することができます。
ライティングレールなどでフレキシブルに光を照射する位置を変えることができるタイプや、スポットライトを固定して文字通りスポット(その場所)を照射するタイプがあります。
強い光を照射することができるため、きめ細かいディティールを持った展示物に対し、立体感や素材感をはっきりと際立たせることができます。
展示スペースは照明の当て方などで印象が変わる
展示スペースは、照明器具の種類も大切ですが、展示物に対してどのように光を当てるかで印象が大きく変わってきます。以下で、印象が変わる要因をあげてみます。
環境照明
空間全般を照射する環境照明の明るさは、展示空間の明るさに起因します。
手元の棚照明(タスク照明)より環境照明(アンビエント照明)が明るければ、展示物は目立ちにくくなります。
展示されるものは、美術品や絵画などさまざまな造形物があげられますが、例えば食品をショーケースなどで展示する場合は、食品がよりおいしく見える光の照射が必要です。環境照明より棚照明の方が暗いと、どうしてもおいしくなさそうに見えてしまうため、「魅せる」空間としては手元の棚照明と環境照明の明るさのバランスが重要となってきます。
照射方向
展示物に対しての照明の当て方(方向)も見え方に影響する大きな要素です。
照射方向によって陰影の具合や見える色が変わり、展示物の見た目(印象)が異なってきます。
特に、立体物(彫刻や花器など)を展示する場合、複数方向から照明を当てることによって、影を落とすことなくはっきりと輪郭を見せることができます。
発光面の大小
照明器具の発光面の大きさも展示物の見え方に影響を及ぼします。
発光面が大きいほど(点光源より面光源のほうが)、光が展示物全体にいきわたりやすい当て方のため、はっきりと輪郭や素材などがわかりやすくなります。
配光
配光とは、光源又は照明器具の各方向に対する光度(光の明るさ、人が感じる明るさの物理量)の分布であり、どの方向にどれぐらいの強さで発光しているかが重要です。
照明器具それぞれに配光曲線と言われる光の広がり方があり、展示物に対して適切な角度や方向があります。そしてそれは、同じスポットライトでも品番が異なれば配光が異なります。
そのため、展示物に対して、展示空間がどれくらいの大きさで配光範囲にしっかり入っているかどうかを確認する必要があります。スポットライトでも、照射角が狭過ぎて、展示物に対して照射しきれない当て方になることも発生してしまうため注意が必要です。
色温度
照明には色温度という指標があります。ブルー系でクールな印象の「昼光色(約6500K)」から温かみのある赤系の「電球色(約3000K)」までグラデーションがあり、光色によって雰囲気が変わるので、照明を当てる展示物をどのように見せたいかで選ぶと良いでしょう。
白色系(5000K前後)
かつては色を正しく認識する光として、直射日光の光ではなく北向きの窓からの間接的な日光を利用していたといいます。白色の光は、展示物に清潔感や爽やかさを演出したい際に有効な色温度です。
電球色系(3000K前後)
エジソンが発明したフィラメント電球の色といわれています。電球色の光は、展示物に高級感や暖かさを演出したい場合に有効な色温度です。
演色性
展示物がもつ固有の色味を忠実に再現するためには、照明の演色性が重要です。
演色性とは、光源が発する光の性質で色の見え方が変わってくることです。
例えば、赤色の花でも自然光に近い白色の光を照射する当て方と、電球色のような赤色の光を当てるのでは、花びらの赤の色の見え方が異なります。
また、食べ物であっても食材の固有の色があるため、あまりにも固有の色と照射する光の色がかけ離れていると本来のおいしそうな色味を見せることは難しくなります。
よって、照明器具(ランプ)の演色性は、展示空間においては非常に重要な要因となります。
これらのように、光には特有の性質があり、展示シーンや展示物によって照明方法を使い分け、展示物が一番際立つ方法を検討する必要があります。
展示品を魅せる照明の具体的な手法と施工例
ここでは、展示品をより美しく見せる照明について、弊社のおすすめの製品と施工例をご紹介します。
展示用照明おすすめ①:たなライト TA-LED
製品名 | たなライト TA-LEDc |
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特徴 |
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【製品情報】
TA-LEDはコンパクトなバーライト型の照明です。棚照明に採用することで、均一に明るい空間を演出することができ、展示物の姿をはっきりと見せることができます。
照明器具もW40mm×H14.8mmと非常にコンパクトであり、色温度のラインナップも2800Kから6500Kまであり、展示物に合わせたディスプレイ空間をつくることができます。
またサイズ(長さ)は282mmから1738mmまで15種類のラインナップがあり、建築物や什器、棚の長さに合わせて設置可能。照明を連結させても、光ムラがない美しいシームレスな光が実現できます。
照射範囲にも優れているため、当て方も棚奥や棚奥上面(入隅)まで、全体をムラなく美しく照射することができます。
高演色型(Ra96)も受注生産が可能であるため、色や質感を忠実に再現する必要がある美術品などの色の再現性が必要とされるディスプレイ空間には最適です。
そごう横浜店 B1F(撮影:荒木文雄)
そごう横浜店B1Fでは、TA-LEDを棚に採用し、アイウェアなどの小さくて繊細な商品に対して、はっきりと輪郭を出すように美しく光を照射しています。
また、演色性も高いためサングラスの透明感や色味などを損なうことがなく、本来の色をお客様に伝えています。
展示用照明おすすめ②:LEDモジュール CLED2
製品名 | LEDモジュール CLED2 |
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特徴 |
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【製品情報】
CLED2はΦ22とコンパクトなバーライト型の照明です。特に、防湿性に優れ、適用温度範囲が広くリーチインやオープンケース、鮮魚用ケースでも採用可能です。
色温度のラインナップも3600Kから6500Kまであり、特にFM色とLP色は精肉や鮮魚(赤身)・生鮮食品をナチュラルかつフレッシュに魅せることができます。
またサイズ(長さ)は68mmから2388mmまで54種類(特注含む)のラインナップがあり、多様な展示空間での当て方に対応することが可能です。
CHEZ KEN (Shibuya Hikarie ShinQs Food)(撮影:金子俊男)
CHEZ KEN (Shibuya Hikarie ShinQs Food)では、ショーケース内にCLED2を採用し、光ムラがない自然光に近い光で、総菜やサラダなどの彩りある食品の美しさを際立出せています。
展示用照明おすすめ③:LEDモジュールCLED3
製品名 | LEDモジュール CLED3 |
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特徴 |
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【製品情報】
CLED3はCLED2の明るさを2倍(約5200lx)にバージョンアップさせた冷ケース向けのバーライト型の照明です。
こちらの商品は明るさだけではなく、自然光に近い高演色製品(Ra96)もラインナップしていることから、食品をより鮮やかに魅せることができます。
また、色温度は2800Kから6500Kまでの6色のラインナップがあり、照射したい商品に合わせてオーダーすることができます。従来のLEDでは実現できなかった商品の艶と色の深みの表現を可能にした商品です。
LEDを覆うパイプは、照射物にLED粒で艶感を与える「透明パイプ」とラップ包装などにLEDの粒が映りこまない「乳白タイプ」の2種類を選ぶことができます。
【関連記事】 「DNライティング、冷ケース向けLEDの明るさ2倍にバージョンアップ。自然光に近い高演色タイプも登場」
展示用照明おすすめ④:ダウンライト(100V仕様)D-EX12
製品名 | ダウンライト(100V仕様)D-EX12 |
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特徴 |
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【製品情報】
D-EX12は什器専用の薄型仕様(H19.2mm)のダウンライトです。埋め込み深さが30mmと非常に浅く、施工性に優れている点が大きな特徴です。
また、ラインナップは、シャープな光を当てることで商品を際立たせる狭角タイプ(25°)と自然な陰影をつくりだす中角タイプ(45°)と柔らかい光が広がる広角タイプ(100°)の3種類があり、展示品に合わせて選ぶことができます。
展示用照明おすすめ⑤:LEDモジュール MC-LED4 D
製品名 | LEDモジュール MC-LED4 D |
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特徴 |
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【製品情報】
小型スリムタイプのLEDモジュールMCシリーズは、シリーズ内の製品ごとの仕様(リード線の向き、長さ)が統一され、照明計画がより容易になり、施工性が大きく向上したのが特徴です。
器具連結時の光の途切れが改善されて光の連続性が高まり、これまで以上に間接・直接照明、棚下・什器など、幅広いシーンの照明に採用いただけるようになりました。
A PIT AUTOBACS SHINONOME(撮影:佐藤久)
【関連記事】 「MCシリーズに新たにスクエア型カバータイプを追加。光の連続性と施工性を向上しMC-LED4としてバージョンアップ。」
展示用照明おすすめ⑥:LEDモジュールFXYS-LED・FXYT-LED
製品名 | LEDモジュールFXYS-LED・FXYT-LED |
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特徴 |
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【製品情報】
細型LEDモジュールFXYシリーズは、「横曲げ」「縦曲げ」の曲げ方向が選べることが大きな特徴のフレキシブルライン照明です。
断面サイズは11mm×11mmと小型で、粒感のない発光面を持ち、直線・曲線に沿いながらも垂直もしくは 水平に同じ光量・配光で照明を設置できることから、統一感のある空間作りが可能となります。
コンパクトでフレキシブルな本体は、厚みの小さい棚板や、曲線を含む棚板にも設置でき、埋め込み取り付けも可能なので、棚照明の演出の幅が大きく広がります。
【関連記事】 「横曲げ・縦曲げ 選べる細型フレキシブルLEDモジュールを開発。断面サイズ11mm 角、粒なしタイプのシリーズとして発売開始。」
展示スペースの照明選びと当て方にはコツがある
今回は、展示スペースの印象を変える照明の当て方についてご紹介しました。
展示スペースの照明を選ぶ際は、第一に展示品の色味や形を正確に表現することが大切です。そのためには、光源の種類、位置、光ムラがない照射範囲や照射角度、色温度など商品に合わせた照明器具の調整が必要不可欠。
特にディスプレイ空間の棚や什器においては、照明器具自体が展示品への視線を遮らないように注意が必要です。
また今回ご紹介した照明器具は、似たような製品でもメーカーによって光の質や特徴が全く異なりますので、慎重にプランを立てていく必要があります。
このような事情から、「光」が大切な空間では、専門の設計事務所に依頼し、照明メーカーや照明プランナーを交えて照明選びを進めていくのが一般的です。
弊社DNライティングでは、「色温度・配光・明るさ」と「設置位置・角度」をシミュレーションしていただける体感型施設を東京と大阪の2箇所に設けており、内装材のサンプルをお持ちいただけると現場に近い環境も再現可能です。
「照明にこだわった施設を目指したい」「照明選びで失敗したくない」という方はぜひお立ち寄りください。
多様な空間でお客様のニーズを満たすDNライティング
現在、百貨店・総合スーパー・ブランドショップ・専門店などの商業施設をはじめ、オフィスビル、ホテル、病院、学校、美術館、マンション、寺社仏閣にいたるまで幅広くこだわりの光(ヒカリ)を表現できる照明メーカーとしてご用命を頂いております。
- 様々な空間に対応する多彩な品揃え
- お客様のニーズを実現するカスタマイズ力
- 多品種と高品質を支える自社生産体制
- 照明その他電気工事の請負・設計監理
照明の役割がますます多様化し、その機能への期待が高まっている中、小空間から大空間まで様々なステージで対応できる豊富な商品を揃え、お客様のニーズにきめ細かく対応する照明専門メーカーを目指しております。ぜひお気軽にご相談ください。
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