屋外照明の種類とは

屋外照明と一言に言っても、使用目的や使用場所によってさまざま種類に分類されます。ここでは、汎用性が高い屋外照明の種類について、代表的なものをご紹介します。

グランドライト

グランドライトは、建築物や植物などを地面から照射する地中埋込型の照明器具であり、地面への埋め込み方により、以下のように分類することができます。

グランドタイプ

照明器具を地中に埋め込み、ガラス面を介して光を照射する屋外照明です。

コンクリート舗装やアスファルト舗装、インターロッキング舗装などの比較的地盤面が硬く凹凸が少ない地面で採用されます。建築物の壁面やサイン、植物などを照らして、夜景の雰囲気を演出するのに向いています。

スタンドタイプ

照明器具を地面に差し込み、自立させて光を照射する屋外照明です。

このスタンドタイプは、あらゆる屋外の地面で採用することができます。光源が地面より高い位置にあり、点光源・面光源として視認しやすいため、光による動線の誘導や区域・区間の演出に向いています。

ポールライトやボラードライト、フロアライトがこちらに該当します。

スポットライトタイプ

こちらもスタンドタイプと同様に照明器具を地面に差し込み、自立させて光を照射する屋外照明です。

しかし、屋内天井に設えるスポットライトのように、照射角度を自在に調整することができるため、主にガーデンアップライトとして、樹木を照射するために使用されます。なお、このスポットライトタイプの照明は、樹木の樹形や高さに合わせて多様な照明器具の種類が流通しています。

フットライト

フットライトは、建築物の外壁に設置し、段差のある場所や仕上げが変わる場所などに採用して足元の安全性を向上させるライトです。

主に建築物のアプローチやスロープなどに採用されています。

ウォールライト

建築物や塀などの壁面に設置し、壁面の表面仕上げの表情を見せながら、周辺の照度を確保する照明です。

光源をガラスやアクリルで覆い直接光を見せるタイプや、壁面のみを照らす間接照明のタイプがあり、建築物のコンセプトに合わせて選択することができます。

スポットライト

こちらも建築物や塀などの壁面に設置し、壁面を照射しながら周辺を照らす照明器具です。

設置数や照射角度により夜景の雰囲気を調整しやすいため、サインや看板などへの照明器具として採用されることが多いです。

バーライト

主に建築物の外壁や軒天、庇に設置する線光源状の照明器具です。

外部空間のアクセントとして使用されることが多く、シャープな印象を付けられることが特徴です。

屋外軒下用照明

屋外軒下用照明とは、軒下やピロティ空間などに主に取り付ける照明器具です。取り付け方によって以下のように分類できます。

埋め込み型照明

主に庇やピロティなどの軒下空間や屋外廊下に設置するダウンライトなどが該当します。屋内用と同様に、狭角・広角タイプがあり、設置位置や個数・調光の有無により空間の照度や雰囲気を変化させることができます。

照明器具が軒天に出てこないことから、夜以外でもすっきりとした軒下空間をつくることができます。虫やごみ、埃などがたまりにくいことも採用メリットとしてあげられます。

外付け照明

主に建築物の軒天に設置する外付けのシーリングライトやベースライトが該当します。基本的には、照明器具を軒下空間の仕上げ面に外付けするため施工性が高いことが採用メリットとしてあげられますが、虫やごみ、埃などが付着しやすいため、定期的な清掃やメンテナンスが必要とされています。

屋外手すり照明

屋外のアプローチやスロープの手すりに採用されるライン状の照明器具です。

屋外手すり照明は、段差・床面・壁面を照射することで意匠的な間接照明だけでなく、歩行の安全性と誘導性を向上する機能照明としてもお使いいただけます。

屋外照明の種類の中で意匠性の高いライン照明

屋外照明でどの種類を選定するかは、施設のコンセプトや照度を確保する目的により採用機器が大きく変わります。

その中でライン照明は、建築物の水平性（屋根、庇、窓などの水平要素）をより演出することができる意匠性が高い照明器具として、多くの設計者に採用されています。

弊社製品のライン照明は、機器のハウジングの見付が小さく、直線だけでなく曲線までも美しく表現できます。

また、電源別置・電源内蔵、ワイド配光・ナロー配光、屋外用・軒下用、高耐候性仕様などのバリエーションが豊富であり、施設用途やシーンに合わせて費用対効果が高い機器を選定することができます。

屋外照明の種類で変わる建物の印象

ここから、弊社の屋外ライン照明を採用した施工例をご紹介します。

浮遊感を演出するやわらかいライン照明

ＪＲ横浜鶴屋町ビルの3階半屋外の天井間接照明にSO3-LEDを採用し、「はまレールウォーク」への道を光で誘導しています。

天井が光で浮かび上がるように見えることで、高級感・特別感のある空間を演出しています。

ＪＲ横浜鶴屋町ビル（撮影：荒木文雄）

また、外観の緑化壁にもSO3-LEDを使用し、地域の生活拠点として光と緑により人工的な自然をつくりだし、施設利用者に対して都市のオアシス的な印象を与えています。

ＪＲ横浜鶴屋町ビル（撮影：荒木文雄）

このライン照明は、横浜駅へとつながるこの通路の景観軸をつくるものであり、シンボルとして街並みに馴染んでいます。

建築の重厚感を際立たせるシームレスなライン照明

「スマートイルミネーション横浜」のアートイベントにて、ライトアップされた神奈川県庁本庁舎。

屋外照明器具はHO2-LEDNを採用し、表面に溝がある茶褐色のタイルと独自の幾何学装飾模様が特色な、歴史ある外壁面のテクスチャーを際立たせる連続する光がポイントです。

神奈川県庁本庁舎（撮影：DNライティング株式会社）

重厚な建築物ほど、壁面を光ムラなくライトアップさせることで、柱や梁、軒、開口部などの水平・垂直が浮かび上がるように見えます。また、シャープな光が直線的にでるHO2-LEDNは、素材やディティールの陰影をつくりだし、訪れた人々に対して、昼間とはまた異なった表情で愉しませることができます。

神奈川県庁本庁舎（撮影：DNライティング株式会社）

暖かな光による集いの空間の再生

2003年3月末に中央卸売市場として廃止された横浜南部市場全体の活性化が目的として建設された複合商業施設ブランチ横浜南部市場。

市場の記憶を継承した店舗空間は白色を基調としてつくられていたため、屋外照明器具にはHO2-LEDNを採用し、ナロー配光による暖かな直線的な光によって壁面やルーバーに光が伸びていくような空間を目指しました。

ブランチ横浜南部市場（撮影：株式会社 ライティング プランナーズ アソシエーツ）

アーケード状の市場の連続する外壁には、シームレスで直線的な光を演出するSO3-LEDを採用し、さまざまな店と店をつなぎながら、お客様をそれぞれの場所に導ける一体感がある空間づくりを目指しました。

ブランチ横浜南部市場（撮影：株式会社 ライティング プランナーズ アソシエーツ）

空間を彩り、人を導くシャープな光

海老名駅間地区開発エリア「ViNA GARDENS」の一画に建てられたオフィスビル。 手摺照明としてFX50-LED-WPを採用し、屋外テラスの足元をやさしく彩る空間を目指しました。

ViNA GARDENS OFFICE（撮影：佐藤　久）

光源を見せないように手すりの裏に照明器具を設けて床面のタイルをやさしく照らすことで光の道を浮かび上がらせ、施設利用者の憩いの場をつくることができました。

ViNA GARDENS OFFICE（撮影：佐藤　久）

屋外照明におすすめのライン照明の種類

軒下用照明 SO3-LED

SO3-LEDは直線的で継ぎ目のないシームレスな光を演出することができますが、ワイド配光タイプであるため広い範囲での照射が可能です。

また、重耐塩仕様を使用すれば、内陸部だけではなく海に近い厳しい環境の中でも、安定して光を供給することができます。

屋外用照明 HO2-LEDN

HO2-ELDNは、IP65の防水機能で発光面に強化硝子を使用しているため、直射日光が当たる場所でも使用が可能です。また、建築物の壁面全体をライン状に照射でき、意匠性にも優れています。

屋外用LEDモジュール FXA-S9-WP

FXA-S9-WPは屋外用でシリコン製のフレキシブルタイプなので、直線・曲線での使用が可能です。

電源は別置なので設置場所や配線経路の確保が必要ですが、LEDモジュール断面はコンパクトな幅11ｍｍ、高さ22㎜なのと粒感のない柔らかい光は、階段やベンチ下のフットライトに最適です。高い防水・防塵性、耐塩素・耐塩害仕様で塩素を使用しているプール、海の近くで塩害の影響が及ぶ場所にも使用できます。

軒下用LEDモジュール FX50-LED-WP

FX50-LED-WPは、直線や曲線などに対応可能であり、軽量でもあることから施工性が非常に高い軒下用照明として人気があります。

また、小型であるメリットを生かし、手すりの裏側や天井や壁の間接照明としても採用できるため、商空間などの細かい造作にも対応が可能です。

意匠性・機能性に優れたライン照明

今回は、屋外照明の種類やその採用事例についてご紹介しました。

屋外照明は、特に夜間の建築物や空間に対して昼間とは異なった表情を演出できるため、施設のコンセプトや床・壁・天井のマテリアルなどを踏まえて機器の選定をする必要があります。

特に、直線的な光を演出できるライン照明は、水平垂直要素で構成される建築物にとって、軒や梁、柱、壁などの陰影を強く際立たせることができるためおすすめな照明器具です。

屋外用の照明器具においても、メーカーの商品によって同じ色温度であっても光の質や特徴が全く異なるため、自然光との調和を図りながら最適な照度が得られ、施設コンセプトを実現できるような光環境を意匠設計者と照明メーカー、プランナーが協働してつくり上げていくことが大切です。

弊社DNライティングでは、「色温度・配光・明るさ」と「設置位置・角度」をシミュレーションしていただける体感型施設を東京と大阪の2箇所に設けており、内装材のサンプルをお持ちいただけると現場に近い環境も再現可能です。

「照明にこだわった施設を目指したい」「照明選びで失敗したくない」という方はぜひお立ち寄りください。